「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その12) −第4部 3 特別支援学校用(センター的機能)−  & −第5部 保護者用−

  • 2017.05.07 Sunday
  • 00:48

JUGEMテーマ:学問・学校

 

 

 「特別支援学校は、地域における特別支援教育のセンターとして、各学校の要請に応じて、教育上特別の支援を必要とする児童等の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努める旨が,学校教育法第74条に明確に位置づけられています。各学校の特別支援教育を支援する、地域支援チームの中核となります。」と最初に書かれています。

 平成16年度版では、センター的機能が制度化されておらず、また、いわゆる発達障害だけを対象にガイドラインが書かれていたため、盲聾養護学校(特殊教育諸学校)の役割は専門家用の章にも書かれていませんでした。
 平成19年学校教育法の改正により特別支援教育へと制度改革され、その改革の柱の一つである特別支援学校のセンター的機能が正式に機能し始めました。
 更に、平成24年の中教審初中教育分科会の「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」では、「特別支援学校は、小・中学校等の教員への支援機能、特別支援教育に関する相談・情報提供機能、障害のある児童生徒等への指導・支援機能、関係機関等との連絡・調整機能、小・中学校等の教員に対する研修協力機能、障害のある児童生徒等への施設設備等の提供機能といったセンター的機能を有している。」と述べている。そして、センター的機能の充実・発展を強く勧めていました。
 今回のガイドラインでは、「(特別支援学校に)センター的機能のための組織(例えば「地域支援部」等を設け、校内の校務分掌への位置づけを明確にすることが大切です。」と書かれています。
 今後、ますますセンター的機能への要請が増えてくることが考えられますので、その養成も含めて、しっかりした体制を作っていく方向へ変化していくことが求められているのでしょう。
 ちなみに、群馬県立の特別支援学校では、センター的機能として学校へ派遣する「コーディネーター」を「専門アドバイザー」という呼称にし、小中学校のコーディネーターと区別しています。


−第5部 保護者用−

 保護者もチームの一員として、学校への協力と共に、合理的配慮の意思表明を行ったり,個別の教育支援計画への参画など、保護者として行う事をガイドしている書きぶりです。一方的に親に協力を求めたり、逆に学校からのサービスを並べたりする書きぶりではない事が私には好印象でした。
 平成16年度版では「保護者・本人用」でしたが、今回は保護者用のみとなっています。本人の意向を尊重することも大切ですが、本人へのガイドラインは、発達障害ならではの内容でしたので、そのまま今度のガイドラインへ移行する事は難しかったと思います。様々な障害の「本人」に向けたバリエーションは難しいので、保護者と学校で協力して,本人用のガイドラインを作っていくことになるのだと思います。


発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 本文をご覧ください。
 

 

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その11) −第4部 2 専門家チーム用−

  • 2017.05.04 Thursday
  • 11:53

JUGEMテーマ:学問・学校

 

 専門家チームに関する記載は非常に少なくなっています。平成16年度版では専門家チームに関する記載が、「資料6:専門家チーム報告書の作成例」も含めると非常に多くの紙幅を占めていました。
 元々、平成11年7月2日に、学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議から出された「学習障害児に対する指導について(報告)」が、今日の特別支援教育の方向性を決めたと言って良いのですが、その報告書の別紙として、「学習障害の判断・実態把握基準(試案)」という提案がなされ、そこで、学校では学習障害と判断する事を禁止し、「校内委員会」(この別紙で初めて提案された)で学習障害の恐れがある子どもを挙げ、都道府県や政令指定都市に設ける「専門家チーム」(これも別紙で初めて提案された)で、学習障害であることの判断と、今日で言うなら個別の指導計画(個別の教育支援計画は平成14年12月、個別の指導計画は平成11年学習指導要領から)に類似した「専門家チーム報告書」を作成すること、及びにその報告書を学校は尊重するべきことが書かれていました。
 本文に、専門家による巡回指導も有用な方法と書かれてはいましたが、それと専門家チームは関係なく、専門家チームは専ら学習障害であるか否かの判断と指導方法について細かに書かれた報告書を作成することが役割でした。
 当時、平成16年度版では専門家チームの役割が以下のように規定されました。
    (2)役割 専門家チームの役割としては,次のようなことが求められます。
        LD,ADHD,高機能自閉症か否かの判断・・・これがメイン
        児童生徒への望ましい教育的対応についての専門的意見の提示・・・細かなプランを含む
        学校の支援体制についての指導・助言
        保護者,本人への説明
        校内研修への支援等
 今回、役割について以下の様に書かれています。
    1.専門家チームの役割
    各学校に対して障害による困難に関する判断, 望ましい教育的対応等についての専門的意見を示すことを目的として, 教育委員会等に設置された組織を専門家チームといいます。
    専門家チームの役割としては, 次のようなことが求められます。
    ・障害による困難に関する判断
    ・児童等への望ましい教育的対応についての専門的意見の提示
    ・校内における教育支援体制についての指導・助言
    ・保護者, 本人への説明
    ・校内研修への支援 等
 対象が特別支援教育の対象者全員になったせいで、いわゆる発達障害児だけでなくなったことが一番大きな変更ですが、他は平成16年度版と似た記載です。一見同じに見えるのは制度としての継続性を保ったものと思われます。しかし、最初の役割すなわち発達障害か否かの判断を専門家チームで行うという役割は、この12年間で実現できなかったことです。私見ですが、この点は実現しなかったことは良かったことだと思います。6.3%と推定されていた子どもたちを県に一つの専門家チームが診断、さらには指導の計画を作れるはずがなかったと思います。

 今回、最初の役割が「障害による困難に関する判断」と変更され、診断よりも困難の評価になったことは、大きな改善だと思います。後は同じですが、専門家チームの記載が減ったことに象徴されている様に、センター的機能や学校内の専門家の増加等々により、専門家チームの役割は徐々に減っていくのだと思います。
 これは、元々の制度設計が「診断機関」だったものが、一時、実現不可能な役割を負わされ、実現不能のまま、役割を終えつつあるということだと思います。平成16年度版では不可欠のキーになる役割でしたが、今回のガイドラインでは、相当、役割を減じています。専門家からの助言は,主に個別の教育支援計画へ反映されると位置づけています。もちろん、巡回相談員のチームとして機能している地域もあります。そちらは、巡回相談事業という位置づけで、今後も活躍されるのだと思います。

 したがって、巡回相談は発展しても、専門家チームは過去の組織としてだんだん消えていくのだと予想しています。

 

 詳しくは、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 本文をご覧ください。

 

 

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その10) −第4部 1 巡回相談員用−

  • 2017.05.01 Monday
  • 22:39

JUGEMテーマ:学問・学校

 

 まず、「各学校を巡回し,教員に対して教育上特別の支援を必要とする児童等に対する支援内容・方法に関する支援・助言を行うことを目的として,教育委員会・学校等に配置された専門的知識を有する指導主事・教員等を巡回相談員といいます。」と定義が書かれています。
 平成16年度版では、目的の項に、「児童生徒一人一人のニーズを把握し,児童生徒が必要とする支援の内容と方法を明らかにするために,担任,特別支援教育コーディネーター,保護者など児童生徒の支援を実施する者の相談を受け,助言することが巡回相談の目的です。また,支援の実施と評価についても学校に協力します。」と、役割について書かれていました。それと比較すると今回の定義は随分すっきりしましたし、内容が指導助言の方に重心を移していると思います。また、平成16年度版ではLD等に限定されていましたが、今回は対象を限定していないという点が注目されます。
 群馬県では「専門相談員」という名称で、各教育事務所に専任の巡回相談員を平成15年から配置し、多くの成果をあげていますが、そのような例は少ないと思います。
 同じく、群馬県の前橋市、高崎市、渋川市では、午前に巡回して、午後に通級として児童生徒を受け入れるという形式のLD通級があります。東京都でも最近取り組み始めた、特別支援教室の場合、群馬と同様に、通級プラス巡回相談という形式の制度が行われる様になりました。
 今後様々な形式で工夫されるのでしょうが、学校外の専門家として、学校の様子も分かり、特別支援教育についての知識も技能も有する専門家が重要です。上記の定義を参考に、巡回相談員の質と量が高まることが期待されます。
求められる資質・技能に以下のものが加わりました。
     コンサルテーションやコーチングなど教師への支援に関する知識と技能
     地域資源の状況を把握したり, 地域の関連機関との連携を行うための知識や技能
     個人情報の取り扱いに関する知識 等
 LD等の発達障害に限定されなくなったことと共に、上記の様に、より具体的に教師へコンサルテーションを行う役割が期待されています。指導主事は英語でスーパーバイザーですので、そのような役割が求められているのだと思います。

  

 

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その9) −第3部 4 通級担当教員、特別支援学級担任及び養護教諭用−

  • 2017.04.29 Saturday
  • 10:37

JUGEMテーマ:学問・学校

 

 これまでの所で学校内の専門家として挙げられてきた職種等の内、スクールカウンセラーやスクールケースワーカーを除いた方々について、述べられています。これらの職種は「教員」に入るため、学校側の職員というイメージがあるのかも知れません。今後、スクールカウンセラーやスクールケースワーカーが定着し、学校内で「内の職員」という位置づけにまでなると良いのですが、若干時間がかかるのかも知れません。一部は「内の職員」になっている方もいるので、次のガイドラインでは書き込まれる様になることを期待しています。なお、平成16年度版では専門家チームの一員として「心理学の専門家」と述べられてはいましたが、カウンセラーも触れられていなかったので、今回、スクールカウンセラーやスクールケースワーカーの役割は重視されていると考えられます。
 さて、通級担当教員、特別支援学級担任という並びは、平成16年度版では専ら特殊学級担任だったことと比べると隔世の感があります。通級担当教員の役割が大きくなっていることは、通級の急増と共に、通常の学級担任の役割が大きくなったことと対応していると思います。平成16年度版では下敷きとして、学習障害児の個別指導が重視されていた傾向があったと思いますが、新ガイドラインは、医療的ケアが必要な子どもも含めて、全ての特別支援教育の対象を意識して書いてあり、かつまた、学級の中で、学級経営や教科指導など通常の場面を重視していることが大きな特徴です。そのため、通常の学級を支える通級の役割が大きくなっているのだと思います。
 通級の指導では、自立活動を中心とした内容が基本と書かれています。ややもすると、教科の補充指導が中心になっているという現状を聞くことがありますが、基本は自立活動です。したがって、通級担当教員へは自立活動や特別支援教育に詳しい先生を当てる、あるいは、それらの研修を意図的に行って頂きたいと思います。そうでなければ、教科の補充が中心になるのは止むを得ない事になります。通級で主に行う教育活動は自立活動なのだということが常識にならないと変なのです。
 通級担当教員は、学級担任やコーディネーターそして校内委員会との連携・協力が求められています。自校通級なら容易ですが、他校通級の場合、これらの役割を位置づけて時間等を配置しないと、通級担当の先生は大変になります。
 次に、特別支援学級担任について述べてあります。まず、担当する障害種に限定されていますが、学校内の専門家として担任等への支援だけで無く助言についても明記されています。特別支援学級での指導の項で、特別支援学校教諭免許状の取得を勧められているのは注目されます。さらに、交流及び共同学習の推進が役割として書かれています。
 養護教諭の記述では、医療的ケアについて書いてあることが注目されます。平成 27 年5月1日調査では、全国の公立小中学校において、日常的に医療的ケアが必要な児童生徒は 839 名と報告されています。その対策において養護教諭の役割は非常に大切です。
 養護教諭の役割で、「医療機関への受診の必要性等について、学校医に相談します。」と述べられていますが、保護者へ受診を勧める等の記載はありません。

 以上のように、通級担当教員の役割や養護教諭の役割は、今回のガイドラインで新に書き加えられ、特別支援学級担任の役割はすっきりとまとめて述べられています。

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その8) −第3部 3 通常の学級の担任・教科担任用−

  • 2017.04.26 Wednesday
  • 22:21

JUGEMテーマ:学問・学校

 

 小中学校で通常の学級を担当している、担任や教科担任用(以下、担任用と略記)の内容です。この部分も11ページにわたって書き込まれており、今回の改正で通常の学級にかなり力を入れていることが分かります。
 担任用の特徴は、事例が厳選されて書かれている点です。短いものですが、実施できそうな事例が挙げられています。とても良い例が多いと思いました。
 p.34の「学級担任や教科担任として支援が必要な児童等のサインに気付くための場面や機会の例」は国立特別支援教育総合研究所からの引用ですが、良く整理されています。
 また、対応として基本に学級経営が書かれており、個別の治療的対応よりも、暖かい学級経営と分かりやすい授業を基礎にしていることがうかがわれ、とても良いと思いました。
 個別の教育支援計画と個別の指導計画の作成は全員について必須であることが明記されています。また、平成16年度版にはみられなかった「ケース会議」が重視されているのも特徴の一つです。※ 特別支援教育に関する委員会(校内委員会)のもとで、少人数のケース会議を開催して、個別の教育支援計画、指導計画を作成し、校内の専門家(スクールカウンセラーやスクールケースワーカー、特別支援教育支援員、特別支援学級教諭など)および学校外の専門家(専門家チームや特別支援学校のセンター的機能で派遣されるコーディネーターなど)を活用して、対応していくことが書かれています。
 保護者との対応についても述べてありますが、信頼醸成に力を注いでいます。特別支援教育の対象であるか否かは、特別支援教育に関する委員会で決めることになっていますので、以前から医師の診断は不可欠ではないとされていましたが、ここでも、診断を勧めるという記述は無く、順当な説明だと思いました。

※(4月27日 追記 : 4ページの本文と18ページの脚注に、「必ずしも,医師による障害の診断がないと特別支援教育を行えないというものではなく,児童等の教育的ニーズを踏まえ,後述の校内委員会等により「障害による困難がある」と判断された児童等に対しては,適切な指導や必要な支援を行う必要があります。」と下線付きで明確に書かれています。
 最後に、交流と共同学習の重要性について述べられています。


 元々、「共同学習」という概念は、平成16年の障害者基本法改定の折りに、インクルーシブ教育の意味で「共同学習」という概念が条文に加えられたのですが、それを知っている方は少ないようです。「交流」は、主に障害のある子と障害のない子の交流を通じて相互に理解し尊重できる関係を構築することを目的に行う教育活動で、「共同学習」は同じ教育の場で、それぞれの児童生徒の教育目標を達成するための学習を行う教育活動と言って良いと筆者は思っています。そろそろ、両者を分けて考えるようにした方が良いと思います。しかし、新ガイドラインでも両者を区別せず「交流及び共同学習」として述べているのは、少し残念です。

 

2017年5月9日修正 ※印の文章「平成16年度版にはみられなかった『ケース会議』が重視されているのも特徴の一つです。」と書きましたが、平成16年度版にもケース会議は説明されていました。今回、位置付けは整理されたのですが、内容的に大きく違っていませんので、「平成16年度版と比較すると、『ケース会議』がより重視されるようになったようです。」に訂正させて頂きます。

 

「特別支援教育の生涯学習化」

  • 2017.04.22 Saturday
  • 10:47

  

JUGEMテーマ:学問・学校  <追加しました>

「特別支援教育の生涯学習化」文科省のMLで知りました。大臣メッセージを引用します。

 

特別支援教育の生涯学習化に向けて 

                                       平成29年4月7日

                                       文部科学大臣 松野 博一(まつの ひろかず)

 

 私はかねてより、障害のある方々が、この日本の社会でどうしたら夢や希望を持って活躍していくことができるかを考えてきました。その中でも印象的だったのが、特別支援学校での重い知的障害と身体障害のある生徒とその保護者との出会いです。その生徒は高等部3年生で、春に学校を卒業する予定であり、保護者によれば、卒業後の学びや交流の場がなくなるのではないかと大きな不安を持っておいででした。他にも多くの保護者から同様の御意見を頂きました。

 これまでの行政は、障害のある方々に対して、学校を卒業するまでは特別支援学校をはじめとする「学校教育施策」によって、学校を卒業してからは「福祉施策」や「労働施策」によって、それぞれ支援を行ってきました。しかし、これからは、障害のある方々が、学校卒業後も生涯を通じて教育や文化、スポーツなどの様々な機会に親しむことができるよう、教育施策とスポーツ施策、福祉施策、労働施策等を連動させながら支援していくことが重要です。私はこれを「特別支援教育の生涯学習化」と表現することとしました。

 文部科学省では、このような観点から昨年12月に「文部科学省が所管する分野における障害者施策の意識改革と抜本的な拡充」を公表しました。併せて、省内の体制を確立するために「特別支援総合プロジェクト特命チーム」を設置しました。さらに、今年度から生涯学習政策局に「障害者学習支援推進室」を新設しました。今後、この「障害者学習支援推進室」を中心に、全省的に「Specialプロジェクト2020」や特別支援学校等における地域学校協働活動の推進、卒業後も含めた切れ目ない支援体制の整備の促進、障害のある学生への大学等における支援体制の充実等に取り組んでいきます。

 各地方公共団体におかれては、障害のある方々がそれぞれのライフステージで夢と希望を持って生きていけるよう、生涯にわたる学習活動の充実を目指し、生涯学習や特別支援教育、スポーツ、文化、福祉、労働などの関係部局の連携の下、国と共に取り組んでいただきますようお願いいたします。

 今週(4月2日〜8日)は発達障害啓発週間です。

 改めて、国と地方公共団体、企業に加えて地域の皆様と共に、障害のある方々が分け隔てなく、互いに尊重し合いながら共生する社会の実現を目指していきたいと強く願います。

 

 関連情報は、HPにリンクを張りました。

 

  ※4月25日 上記のHPの記事に次の内容を加筆しました。

 中央教育審議会 > 生涯学習分科会 > 生涯学習分科会(第84回) 議事録 抜粋 「特別支援総合プロジェクトについて」を追加しました。・・・どのような考えの柱で出されたか、背景が分かります。

   

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その7) −第3部 1 コーディネータ用−

  • 2017.04.21 Friday
  • 16:52

JUGEMテーマ:学問・学校

 

 平成16年度版でもコーディネーターの役割は重要でしたが、専ら連絡調整が主で、担任への支援などは充分書き込まれていませんでした。今回は、担任への支援が大きな柱の一つとして独立しています。また、個別の教育支援計画と個別の支援計画の作成が、通常の学級でも求められるようになったことは大きな前進です。更に、校長用などで明確になった学内専門家(特別支援教育支援員、学校心理士、学校ソーシャルワーカーなど)との連絡調整が明記されているのも具体的になっていますし、学校ソーシャルワーカーは新しい動きですが、それも位置づけています。

 

※新ガイドラインの内容(要約)
 特別支援教育コーディネーターは,学校内の関係者や教育,医療,保健,福祉,労働等の関係機関との連絡調整,保護者との関係づくりを推進します。
1.学校内の関係者や関係機関との連絡調整
(1)学校内の関係者との連絡調整
校内委員会の企画・運営を担い,協議を円滑に
また,日頃から校内で教育上特別の支援を必要とする児童等の情報を収集し,必要
に応じ,特別支援教育支援員,スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカー等、学内専門家と繋ぐ
(2)ケース会議の開催
ケース会議では,児童等の状況の共有や,課題の明確化,今後の具体的な支援内容や方針の確認
(3)個別の教育支援計画及び個別の指導計画の作成
校内委員会で個別の教育支援計画及び個別の指導計画を作成
(4)外部の関係機関との連絡調整
特別支援教育コーディネーターは,巡回相談員や専門家チームとの連絡調整
特別支援学校(センター的機能)やその他の教育,医療,保健,福祉,労働等の関係機関との連絡調整
(5)保護者に対する相談窓口
各学校において,一般的に,保護者と主に連絡を行う教員は,児童等が在籍する学級の担任だが,コーディネーターも窓口になる
2.各学級担任への支援
特別支援教育コーディネーターは,各学級担任からの相談に応じ,助言又は援助等の支援を行います。
(1)各学級担任からの相談状況の整理
(2)各学級担任とともに行う児童等理解と学校内での教育支援体制の検討
(3)進級時の相談・協力
3.巡回相談員や専門家チームとの連携
(1)巡回相談員との連携
(2)専門家チームとの連携
4.学校内の児童等の実態把握と情報収集の推進
学校内の児童等の実態を把握するための校内体制構築や,研修の実施を推進
校内委員会において,全ての教職員を対象とした早期支援のための学校内の研修の計画や,学習面又は行動面において困難のある児童等に係る困難の状況の実態把握のための参考指標の使用等を提案

これらの記述の折々に好調と相談して進める旨明記されています。


※平成16年度版(項目)
 特別支援教育コーディネーターは,学校内の関係者や外部の関係機関との連絡調整役,保護者に対する相談窓口,担任への支援,校内委員会の運営や推進役といった役割を担っています。
〈校内における役割〉
○校内委員会のための情報の収集・準備
○担任への支援
○校内研修の企画・運営

〈外部の関係機関との連絡調整などの役割〉
○関係機関の情報収集・整理
○専門機関等への相談をする際の情報収集と連絡調整
○専門家チーム,巡回相談員との連携

〈保護者に対する相談窓口〉

  

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その6) −第3部 1 校長用−

  • 2017.04.17 Monday
  • 21:37

JUGEMテーマ:学問・学校

 

  平成16年度版でも校長の役割は割と具体的に書かれていましたが、今回のガイドラインではより具体的かつ緻密に書き込まれています。なかなか良いガイドラインです。

 校長先生用が15ページにわたって書かれているのに対して、コーディネーター用は4ページしかありません。校長先生は多忙でしょうが、まず校長用を読むと幅広い役割が書いてあり、他の部分も読まないといけないという気分になりそうです。一見、平成16年版と同じに見えますが、だいぶ違います。特別支援教育コーディネータの先生の今年度最初の仕事は、校長先生に、読んで頂く様働きかけることが最優先だと思います。また、コーディネーターの先生は校長用の部分は必読です。校長用は学校全体でどう取り組むかについて書いてあるので、全体像を把握するために教職員全員が読み込む必要がある部分だと思いました。
 この中でも、学校内の教職員の役割についてかなり整理されています。内容は割と具体的で、平成16年度版に比べて格段に分かりやすくなっています。

 

発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 本文をご覧ください。

 

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その5) −第2部 設置者用−

  • 2017.04.12 Wednesday
  • 08:29

JUGEMテーマ:学問・学校

 

  設置者用の最初には、平成19年4月の初等中等局長通知「特別支援教育の推進について(通知)」の一部が書かれている。この通知は、平成16年度版の後から出されており、現在でも特別支援教育の制度については最もまとまった正式文書ですので、前回も書きましたが、きちんと文書をおさえながら今回のガイドラインが書かれたし、それだけの根拠となる議論が10年の間に積み重なってきた(一部は十分でない所もありますが)という事なのでしょう。

 最初に、都道府県、市町村は「特別支援教育推進計画」を作成しているが、その内容について基本線を打ち出しています。

 その次に、教職員の専門性の向上を挙げ、『特別支援連携協議会』の設置と教育相談体制の整備と充実について述べています。注目すべき事は、教育相談体制の中で、(1)巡回相談員、(2)専門家チーム、(3)特別支援学校のセンター的機能のそれぞれについて役割と機能を整理して述べてあることです。平成16年度版では専ら専門家チームでしたので、隔世の感を禁じ得ません。平成16年度版では専ら専門家チームが学習障害等を判断することになっていましたが、明らかに画餅に帰していると思います。元々の構想が不十分だったのだと思います。

 専門家チームの役割について、今回のガイドラインでは、「障害による困難の判断」「児童等への望ましい教育的対応についての専門的意見の提示」等と書き改められ、ガイドラインの専門家に関する記載も無理のない所に落ち着いています。地味ですが、大事な改訂が行われたと思います。
 最後に、設置者に特別支援教育に関する理解啓発が求められている点が明確に書かれています。これも,非常に大切な事項だと思います。

 

学習指導要領改訂(案)における自立活動の変更

  • 2017.04.10 Monday
  • 21:44

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今回の特別支援学校小中学部学習指導要領の改訂案における自立活動の新旧対照表をホームページに掲載しました。

この改訂案への意見は、4月15日締め切りでパブリックコメントを文科省は求めていますので、そちらへ大急ぎで出して下さい。

 

 マイナーチェンジだと思いますが、一番大きな改訂は、健康の保持に「(4) 障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること。」が加えられ,合計27項目になったことです。

 面白いことに、平成21年改訂で加えられた、環境:(2)感覚や認知の特性への対応に関すること & 動き:(5)作業の円滑な遂行に関すること。 に文言が加えられたなどの改訂が加えられています。

 

詳しくは、私のホームページに臨時で新旧対照表を掲載していますので、ご覧ください。(私の確認なので、漏れがあるかも知れませんので悪しからず)
http://mon.psychoreha.org/tsk/newjiritsu.pdf

 

 

 

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