発達障害者支援法から場面緘黙や吃音が外される?

  • 2018.02.25 Sunday
  • 02:17

 

 最近、場面緘黙の当事者の方から、発達障害者支援法の対象から場面緘黙が外される恐れがあるという噂を聞いたけれど、どういうこと?と質問を受けました。

 厚生労働省や国会議員の皆様が、そんなことはされないと思いますが、心配がある周辺の事情を、長くなりますがここに書きます。決して、外されるというのが決まっているのではなくて、恐れがあるという段階です。しかし、時間も限られていますし、用心に越したことはありません。

 今のうちに、出来るだけ陳情などしていきましょう。今、関係の会では要望書などの検討に入り始めています。

 では、本文を書きます。

 

どんな問題か

 最近問題になっている発達障害から吃音や場面緘黙が外れるのではないか、という心配は、ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)が11版へ2018年に改定されるという大変化に伴う心配です。

発達障害者支援法の対象となる障害は、WHOのICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80−F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害である」と規定されていて、そのICDが今年2018年に11版へ改定されますので、法律の対象の障害が変わってくる可能性があるのです。現行のICD-10の中に、選択性緘黙や吃音が含まれているのです。

 これらの用語は主に世界保健機構(WHO)の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)の用語を主に用いています。ICDは普通、国際疾病分類と簡略に呼ばれることが多い、国際的な病気の統計を取ったり、世界規模での疾病対策をしたりする際の分類体系です。その第10版を基に政令や省令は書かれています。

 法律の条文では以下に引用しているように、書かれていますが、慣れないと、何が書かれているか分かりにくいです。第2条で書かれている障害は、中心となる障害です。あまり変更はないだろうと想定して書かれています。しかし、この部分も、元の障害名が変わってくるので、改定されると思います。

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発達障害者支援法

 発達障害者支援法の発達障害の定義をみてみます。この法律では、法律の条文に直接書かれている障害と、政令で規定している障害と、厚生労働省令で規定している障害の3段階で対象の障害を定義しています。

 

第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

 

政令第百五十号 発達障害者支援法施行令

(発達障害の定義)

第一条発達障害者支援法(以下「法」という。)第二条第一項の政令で定める障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、言語の障害、協調運動の障害その他厚生労働省令で定める障害とする。

 

厚生労働省令第八十一号

発達障害者支援法施行令第一条の厚生労働省令で定める障害は、心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運動の障害を除く。)とする。

 

政令や省令で規定している部分は、状況の変化に応じて、変更する含みがあると考えられます。11版で大幅に改定されますので、これらの部分も当然改定されます。

 この法律が施行されたとき、平成17年4月の厚生労働省と文部科学省の通知では、もっと簡略に、“ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80−F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害である”と書かれています。ICD-10が分からないと訳が分かりません。次の次にICD-10の関連する部分を書きますが、その前に、「発達障害」という言葉について少し説明します。

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発達障害は診断名か?

 「発達障害」という用語の根本的な誤りをまず確認しておきます。

 

〇発達障害と言う言葉は,身体障害という言葉と同格のものです。

 身体障害というと脳性マヒのお子さんなど,肢体不自由がイメージされがちですが,それだけではありません。身体障害には,視覚障害や慢性の肝臓病など内部疾患も含まれていて,非常に幅の広い状態像を包含した言葉です。「身体障害」という言葉は法律の用語です。病名すなわち,診断に使う用語ではありません。植物>果物>桃 という関係では,「植物」に当たるような言葉です。病院であなたのお子さんは身体障害という病名ですというお医者さんは皆無です。

 発達障害という言葉も,本当は法律用語で,「植物」に当たる用語です。これを「発達障害(法律用語)」と書くことにします。自閉症スペクトラム症は,「桃」と同格ですので,「発達障害(法律用語)」>自閉症スペクトラム症という関係です。このように,法律用語なので,正式には「発達障害」という診断名はありません。

 ところが,実際は「発達障害」という言葉は日本中で誤用されていて,診断名のように使われています。これを,ここでは法律用語と区別するために「発達障害(診断名??)」と書くことにします。「発達障害(診断名??)」には,自閉症(自閉症スペクトラム症),学習障害,ADHD(注意欠如多動性障害)の三つだけが含まれていると,日本中で思われています。これも誤解です。次に説明するように、様々な障害が含まれています。

 それは、従来、障害者福祉3法と呼ばれていた知的障害者福祉法、身体障害者福祉法、精神保健福祉法の三つで、カバーできない谷間にいた障害者に福祉を及ぼす目的で発達障害者支援法が出来たからです。知的障害を伴わない自閉症者は、これらの法律ではケアできなかったのです。他にも、福祉の谷間にいたいろいろな障害についても福祉を及ぼすためにできた法律です。

 LD,ADHD,自閉症スペクトラム障害の他は、あまり注目されていませんが、本当はこの法律を必要としている障害は多数あるのだといえるでしょう。この論議は、どのような障害が対象となっているかを確認した後に、再度、述べて参ります。

 

「発達障害(法律用語)」は日米で異なる

 発達障害は制度のカテゴリー名なので法律用語だと申しました。少し調べると分かるのですが,米国と日本では,法律の中身が異なるのです。米国では脳性まひやてんかんの子どもがまず「発達障害(法律用語)」として定められ,ずっと後に自閉症や学習障害の子どものことが加えられたという歴史があります。

 日本の法律を見ても,々汎性発達障害(自閉症,アスペルガー症候群などが含まれる),学習障害(LD),C躇娵膣拌親粟障害(ADHD),て丹曚文生貳達障害,協調運動障害(DCD)といった多様な子どもたちが「発達障害(法律用語)の対象と規定されています。それらは法律の対象に入っている事を意味します。非常に幅のあるそれらの状態像に共通の「特性」があるはずがありません。

 自閉症スペクトラム障害の子どもを「発達障害(診断名??)」と言うのは,「これ何?」と八百屋さんでピンク色の丸い果物(桃)を指さしたら,「植物」と店主が答える様なものです。

 当然,その原因も一つではなくて,様々な原因が複雑に絡み合って,様々な状態像を示している訳で,簡単ではありません。むりやり,脳の障害と仮定している人もいますが,専門的に研究している方は,自閉症においても,脳の病変を証明出来ていないのが現状です。脳はさまざまな働きをしているので,脳を原因と仮定するのは,誰でも出来ることですが,誰にもまだ,はっきりした証拠を示せないでいると言えるでしょう。証明されていない仮説で,原因論を云々することは時期尚早だと思います。

 

法律用語としての発達障害

 

発達障害者支援法が発効する日に文部科学省と厚生労働省の次官の連名で出された通知 

17文科初第16号

厚生労働省発障第0401008号

平成17年4月1日

これらの規定により想定される、法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80−F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害であること。

 なお、てんかんなどの中枢神経系の疾患、脳外傷や脳血管障害の後遺症が、上記の障害を伴うものである場合においても、法の対象とするものである。(法第2条関係)

(後略)

 

まず、現状でどのような形で、発達障害者支援法に入っているかを確認しましょう。

 

上記の通知で示している障害は以下のようになります。

 

○WHOの国際疾病分類(関係部分のみ)F8 DISORDERS OF PSYCHOLOGICAL DEVELOPMENT  心理的発達の障害

F80 会話および言語の特異的発達障害

F80.0 特異的会話構音障害

F80.1 表出性言語障害

F80.2 受容性言語障害

F80.3 てんかんにともなう獲得性[後天性]失語[症](ランドウ-クレフナー症候群)

F80.8 他の会話および言語の発達障害

F80.9 会話および言語の発達障害,特定不能のもの

 

F81 学力[学習能力]の特異的発達障害

F81.0 特異的読字障害

F81.1 特異的綴字[書字]障害

F81.2 特異的算数能力障害[算数能力の特異的障害]

F81.3 学力[学習能力]の混合性障害

F81.8 他の学力[学習能力]の発達障害

F81.9 学力[学習能力]の発達障害,特定不能のもの

※筆者注)学習障害にほぼ対応する分類

F82 運動機能の特異的発達障害

 (筆者注:協調運動障害DCDとほぼ同じ)

F83 混合性特異的発達障害

F84 広汎性発達障害

F84.0 小児自閉症[自閉症]

F84.1 非定型自閉症

F84.2 レット症候群

F84.3 他の小児期崩壊性障害

F84.4 精神遅滞および常同運動に関連した過動性障害

F84.5 アスペルガー症候群

F84.8 他の広汎性発達障害

F84.9 広汎性発達障害,特定不能のもの

 

F88 他の心理的発達の障害

F89 特定不能の心理的発達の障害

 

F90 BEHAVIOURAL AND EMOTIONAL DISORDERS WITH ONSET USUALLY OCCURRING IN CHILDHOOD AND ADOLESCENCE –F98

 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害

F90 多動性障害 ※※

F90.0 活動性および注意の障害

F90.1 多動性行為障害

F90.8 他の多動性障害

F90.9 多動性障害,特定不能のもの

※※ 筆者注)注意欠陥多動性障害(ADHD)にほぼ対応する分類

F91 行為障害

F91.0 家庭内に限られる[家庭限局性]行為障害

F91.1 非社会性[非社会型][グループ化されない]行為障害

F91.2 社会性[社会型][グループ化された]行為障害

F91.3 反抗挑戦性障害

F91.8 他の行為障害

F91.9 行為障害,特定不能のもの

 

F92 行為及び情緒の混合性障害

F92.0 抑うつ性行為障害

F92.8 他の行為および情緒の混合性障害

F92.9 行為および情緒の混合性障害,特定不能のもの

 

F93 小児期に特異的に発症する情緒障害

F93.0 小児期の分離不安障害

F93.1 小児期の恐怖症性不安障害

F93.2 小児期の社会性[社交]不安障害

F93.3 同胞葛藤性[抗争]障害

F93.8 他の小児期の情緒障害

F93.9 小児期の情緒障害,特定不能のもの

 

F94 小児期および青年期に特異的に発症する社会的機能の障害

F94.0 選択性緘黙

F94.1 小児期の反応性愛着障害

F94.2 小児期の脱抑制性愛着障害

F94.8 他の小児期の社会的機能の障害

F94.9 小児期の社会的機能の障害,特定不能のもの

 

F95 チック障害

F95.0 一過性チック障害

F95.1 慢性運動性あるいは音声チック障害

F95.2 音声性および多発運動性の合併したチック障害(ド・ラ・トゥーレット症候群)

F95.8 他のチック障害

F95.9 チック障害,特定不能のもの

 

F98 通常小児期および青年期に発症する他の行動および情緒の障害

F98.0 非器質性遺尿症

F98.1 非器質性遺糞症

F98.2 乳幼児期及び小児期の哺育障害

F98.3 乳幼児期及び小児期の異食症

F98.4 常同性運動障害

F98.5 吃音[症]

F98.6 早口[乱雑]言語症

F98.8 他の小児期および青年期に通常発症する特異的な行動と情緒の障害

F98.9 小児期および青年期に通常発症する特定不能の行動と情緒の障害

以上、F98までを発達障害とする。

 

 これらのリストが「通知」では、“ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80−F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害である”と簡略に書かれていたわけです。

 

 その大本のICDが11版になるのですが、その概略はすでにベーター版として公表されています。主な変更点をあげると次のようになります。

 「心理的発達の障害」という大分類は無くなり、その多くは「神経発達障害」となります。その中には、知的障害が第一に入り、自閉症スペクトラム障害(ASD)、局限性学習障害(LD)、注意欠如多動性障害(ADHD)、チック、吃音などが入ります。「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」という大分類も無くなり、愛着障害や選択性緘黙は大人の不安症などと一緒になって「不安症群」という大分類の中に入ります。以前はADHDに近い位置だったのですが、ADHDは「神経発達障害」の方へ引っ越して、愛着障害や選択性緘黙は、別の分類へ引っ越したという事です。

もちろん、これらの動きを厚生労働省の方は把握しています。その上で、改定の時に、どの障害を残し、どの障害を削るかを検討しているのだと想像されます。

 「神経発達障害」に残っている吃音の当事者の方が心配しているのに、そこから外れた場面緘黙の方々が心配しないはずはありません。

 

英文の機械翻訳ですが、ICD-11のベーター版(完成版の一つ前の版)を以下にあげます。

 

ICD-11ベータドラフト - 死亡率と罹患率統計     

                       

        01 特定の感染症または寄生虫性疾患            

        02 新生物                 

        03 血液または造血器官の病気                      

        04 免疫系の病気                   

        05 内分泌、栄養または代謝疾患                   

        06 精神的、行動的または神経発達障害                    

                   神経発達障害  

                              6A00 知的発達の障害  

                              6A01 発達発話または言語障害  (ここに吃音が含まれる)

                              6A02 自閉症スペクトル障害  

                              6A03 発達性学習障害(LD)

                              6A04 発達中の運動協調障害  

                              6A05 一次チックまたはチック障害  

                              6A06 注意欠如多動性障害  (ADHD)

                              6A07 定型運動障害  

                              6F00 二次神経発達症候群  

※   YとZはその他ですので、以下省略。また、説明上重要でないと思われる部分も省略して書きます。( )は久田の注です。

 

                   統合失調症または他の原発性精神病性障害     

                   Catatonia  (緊張病)          

                   気分障害  (躁病、うつ病)   

                   不安または恐怖関連障害        

                              6B20 全般性不安障害  

                              6B21 パニック障害  

                              6B22 広場恐怖症  

                              6B23 特定の恐怖症  

                              6B24 社会的不安障害  (場面緘黙に併発しやすい)

                              6B25 分離不安障害   (ここにも注目)

                              6B26 選択性緘黙(機械翻訳がひどいので旧来の訳をいれた:原語がかわったので、「場面緘黙」へと訳語も変えてほしい)

                              物質誘発不安障害  

                              6B43 心気症(身体症状を多く訴える)

                              6F03 二次性不安症候群  

                   強迫神経症または関連障害     

                   ストレスに関連した障害        

                   解離性疾患     

                   摂食障害または摂食障害        

                   排泄障害  (遺糞、遺尿なども)

                   身体的苦痛または身体的経験の障害    

                   物質の使用または中毒性の行動による障害     

                   衝動調節障害  

                   破壊的な行動や社会的障害     

                              6D10 反抗挑戦性障害  

                              6D11 行動 - 妄想障害  

                   人格障害および関連形質        

                   パラフィリア  

                   虚偽性障害     

                   神経認知障害  

                   妊娠、出産および産褥に関連する精神または行動障害

(以下略)

 国際疾病分類(ICD)はWHOの分類であるため、日本の法律などの用語に大きな影響があります。アメリカ精神医学会の分類であるDSM-5よりも法律や制度に大きな影響があります。

 

 もし「神経発達障害」だけが残るとすると、いろいろ問題があると思います。特に、場面緘黙は、やっと発達障害として注目されるようになりましたので、この段階で外されるのはかなり厳しいと思います。愛着障害などについても同じだと思います。

 選択性緘黙でなく、場面緘黙と言う訳語にして頂くことを求めるだけでなく、発達障害者支援法の対象として残すことを強く求める必要があると思います。

 

関連の質問を受け付けています。hisata@psychoreha.org 宛にお寄せください。

 

文責 緘黙研究会 久田信行

2018/2/25 Ver.1.1

Ver.1.1 最初の説明文に加筆 2/26

 

コメント
突然ですが発達障害者支援法に場面緘黙や吃音が入った経過を教えてください。
場面緘黙や吃音は発達障害者支援法から外して、そもそも身体障碍なので、身体障碍で手帳を取得出来るように運動したほうが、就労や給料で有利だと思うのですが?
  • 安藤順一
  • 2018/09/14 2:45 PM
安藤様 コメントありがとうございます。

 場面緘黙や吃音が発達障害者支援法の対象に入った詳しい経緯は存じません。諸般の状況から二つの理由があると推察しています。

 第一に、発達障害者支援法ができた主な理由は、代表的には知的障害を伴わない自閉症の事例で、当時の福祉法制では、知的障害でもないし、精神障害でもなく、どの法律をもってしても法的な保護や支援が行えないという問題がありました。同様の問題は注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)にもありました。さらに、例えば吃音は症状が顕著な場合には身体障害者の4級と認定される可能性がありますが、4級ではあまり支援を受けることができません。場面緘黙については身体障害としての認定は、私は知りません。発達障害者支援法が施行され、精神障害を伴う事例だけに対して、精神障害者保健福祉手帳が交付されるという途が開かれたのです。従前は、情緒障害と大きくは位置付けられ、かつ、子どもの障害と誤解され、重篤な状態で成人する事例に全く光が当てられていませんでした。
 このような、福祉の谷間にいる人々を救う目的で発達障害者支援法が作られました。その意味では、吃音や場面緘黙はまさに障害者として認知されていなかった人々として、発達障害者支援法の対象になったものと推察されます。
 第二に、発達障害という概念が、アメリカの法制の中で確立されてきていたという背景があります。ただし、注意しておく必要がありますが、アメリカと日本の「発達障害者」は同じではないのです。
 加我牧子(2011)https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku/13/1/13_29/_pdf/-char/jadevelopmental 等にも触れられているように、「developmental disability の考え方は、精神遅滞とともに発達期のそのほかの神経学的障害(脳性麻痺やてんかんなど)に拡大され、1970 年アメリカの公法 PL91-517 として公布され、認知されるように至た。その後、自閉症や dyslexia が「発達障害」に加わるなど、ある意味、時代の要請による、概念の変遷があった。
従って発達障害の中心的な存在は精神遅滞(知的障害)と言えるし、Down 症候群などの各種先天性疾患群に加えて脳性まひやてんかん、視聴覚障害、自閉症、学習障害、注意欠如多動性障害(AD/HD)など発達期に生じる脳神経系の発達の遅延又は異常による状態を広く指す言葉でもある。」等々発達期に起こる障害で、その後の発達や適応に大きな影響があるので、発達期に手厚い対処をしようという政策があったのです。それで、今日(2000年)のアメリカの発達障害は、次のように定義され、診断名は書かれなくなりました。

発達障害(Developmental Disabilities)
(A)通則 − “発達障害”とは、重篤で永続的な障害を意味するものであり、それは、
  () 精神疾患または身体疾患、もしくは精神及び身体の併存疾患であり;
  () 22歳以前に出現したものであり;
  () 生涯に渡る可能性があり;
  () 以下の主要な日常生活活動の3領域以上において相当の機能的制約をもたらし; セルフケア 言語理解と発話  学習 ぐ榮亜´ 自己決定  自立生活能力  経済的自立 
  () 個人のニーズは、生涯もしくは長期にわたる個別に計画され調整された一連の特別なサービス、または多領域に渡るサービス、または一般的なサービス、または個別の支援、もしくはその他の支援の併用が必要である
(発達障害者への支援及び基本的人権に関する法律2000 (Developmental Disabilities Assistance and Bill of Rights Act of 2000 Sec. 102. Definitions(8))(発達障害情報・支援センター仮訳))
 
 このように、発達障害というイメージが日本では独特の肥大をしているため、議論がごちゃごちゃになっている面があると思います。

 吃音と場面緘黙は発声・発語の身体の機能の障害と簡単に言えるといいのでしょうが、そう簡単でもないので、発達期の障害で、適応に大きな影響をもち、身体・知的・精神という福祉の法律ではカバーされにくいという意味で、現状では発達障害者支援法がカバーしていると私は認識しています。
  • hisa
  • 2018/09/18 4:56 PM
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