国連 障害者権利委員会のインクルーシブ教育への意見 1

  • 2017.11.24 Friday
  • 00:38

 昨年のことですが、国連の障害者権利委員会から教育に関する下記の意見が公表されています。この文書では、国連全体の目標である「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(国連 持続的開発目標;SDGs)への言及がところどころ見られ、時代とともに変化していることが伺われます。中教審初等中等教育部会の報告(平成27年)とところどころ違っている点があり、今後調整が必要なのかもしれません。

 差別解消法やインクルーシブ教育を考えるうえで示唆に富みますので、その一部を抜粋し2回に分けて掲載いたします。

 

「インクルーシブ教育を受ける権利に関する一般的意見第4号(2016年)」1

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc4_2016_inclusive_education.html より抜粋

 

障害者の権利条約第24条(教育)の解釈は、改めて、この文書に書かれている方向で行われる必要があると思います。例えば、以下のように書かれています。

 

.第24条の規範的内容

16.第24条(1)(b)の実施に向けて、教育は、障害のある人の人格、才能及び創造力並びに精神的、身体的及びコミュニケーション能力を、その可能な最大限度まで発達させることに向けられるべきである。障害のある人の教育では、欠陥を埋めるアプローチと、実際にある機能障害や認識されている機能障害、そして、潜在能力に対する暗黙の否定的な思い込みによる機会制限が、あまりに注目されすぎている。締約国は、障害のある人それぞれの独自の強みと才能を生かす機会の創出を支援しなければならない。

 

18.第24条(2)(a)の実施に向けて、障害のある人の一般的な教育制度からの排除は、個人の潜在能力の程度をインクルージョンの条件とすることや、合理的配慮の提供の義務から逃れるために、均衡を失した過度の負担を主張することなど、機能障害またはその機能障害の程度に基づきインクルージョンを制限する何らかの法的または規制的条項による排除も含めて、禁止されるべきである。一般的な教育とは、すべての通常の学習環境と教育部門を意味する。直接的な排除は、特定の生徒を「教育不可能」であり、それゆえ、教育を受ける資格がないとして分類することだと言える。間接的な排除は、合理的配慮や支援なしに、入学条件として共通試験への合格という要件を課すことだと言える。

 

35には、以下の記述もあり、場面緘黙児や吃音児等についても十分配慮する必要がある。

 (e)社会コミュニケーションの困難がある学習者は、ペア活動、ピア・チュータリング、教師の近くの座席、構造化された予測可能な環境の創造を含む、学級編成の適切な調整を通じて支援されなければならない。

 

.締約国の義務 

41.漸進的な実現は、即時に適用可能な義務に影響を及ぼすものではない。経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会が締約国の義務の性格に関する一般的意見第3号(1990年)で述べているように、締約国は、最低でも、教育を受ける権利の各側面の最低限の不可欠なレベルの充足を確保する、最低限の中核的義務を有する。それゆえ、締約国は、以下の中核的権利を直ちに実施するべきである。(注15)

 (a) 教育のあらゆる側面における、すべての国際的に禁じられている差別の理由を網羅した無差別。締約国は、障害のある人の教育からの排除をなくし、障害のあるすべての人の効果的な参加と平等の実現を阻む構造的な不利を撤廃すること確保しなければならない。そして、インクルーシブ教育を享受する権利を妨げる、あらゆる法的、行政的及びその他の形態の差別を撤廃するための対策を緊急にとらなければならない。積極的差別是正措置の採用は、そのような措置が、別の集団にとって不平等な、または、別個の基準を維持することへとつながらない限り、教育に関する無差別の権利の侵害にはならない。

 (b) 障害のある人の教育からの排除をなくすことを確保するための合理的配慮。合理的配慮の不提供は、障害を理由とした差別となる。

 (c) すべての人が利用可能な、義務的な、無償の初等教育。締約国は、インクルージョンを基本として、障害のあるすべての児童及び若者に対し、当該権利を保障するためのあらゆる適当な措置をとらなければならない。委員会は締約国に対し、「教育2030行動枠組み」 に概要が述べられているように、すべての児童及び若者のための、最低12年間の、無償の、公的資金による、インクルーシブかつ公正な質の高い初等及び中等教育で、そのうち少なくとも9年間は義務教育である、質の高い教育を享受する機会とその修了、並びに、不就学の児童及び若者のための、さまざまな様式による質の高い教育を享受する機会を確保することを強く要請する。

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