「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その14) −第3部 学校用 1 校長用(園長用)− を再び(まとめに代えて2)

  • 2017.05.10 Wednesday
  • 15:09

JUGEMテーマ:学問・学校

 

3.特別支援教育コーディネーターの指名と校務分掌への位置付け
 コーディネーターの役割については、「特別支援教育コーディネーターは,各学校における特別支援教育の推進のため,主に,校内委員会・校内研修の企画・運営,関係機関・学校との連絡・調整,保護者の相談窓口等の役割を担います。」と述べられており、ほぼ平成16年度版と同じように書かれています。しかし、二つの点で、変化しています。
 一つは、「また,校長は,特別支援教育コーディネーターが合理的配慮の合意形成,提供,評価,引継ぎ等の一連の過程において重要な役割を担うことに十分留意し,学校において組織的に機能するよう努める必要があります。」という文言が加えられている点です。障害者差別解消法への対応もコーディネーターの役割に加えられた事は、仕事が増えすぎていかがなものかとも思いますが、障害児への対応で、親御さんとも関係がないと難しいので、コーディネーターに役割を発揮して貰うことにある種の合理性があるとも思います。コーディネーターの先生を複数指名することも可能ですので、仕事量など考慮して頂く事が必要と思います。
 第二に、文面上というより、ガイドラインの端々に、担任等への支援・指導を行うことが書かれている点は、目立ちませんが、大きな変革です。
 また、(校長は)「専ら特別支援教育コーディネーターの業務に従事できるような配慮を行うことが望まれます。」と、専任化にまでは至りませんでしたが、運用上で、コーディネータの業務に当たる時間を確保ないし配慮することが求められている点は大きいと思います。
 校務分掌での位置付けについても書かれています。注目を引くのは、既存の生徒指導部や学習指導部等の構成員を指名するなど、コーディネーターの役割が校内の諸組織と有機的に連携することを想定しています。このような、学校経営とのリンクが重視されるため、校長用で具体的な対応や配慮を書き込んでいるのだと思います。

 

4.個別の教育支援計画及び個別の指導計画の作成(脚注9)と活用・管理
 平成16年度版では、校長用と担任用に個別の教育支援計画が書かれ、専門家チームの項に、「判断と助言のまとめ方」の中身は今日の個別の教育支援計画に近いものでしたが、直接、個別の教育支援計画(平成14年末〜:20ページ参照)には触れられていませんでした。
 今回のガイドラインでは、個別の教育支援計画と個別の指導計画の位置づけが大きくなったと思います。
 脚注9に重要なことが書かれています。それを抜粋すると以下のようになります。
−−−脚注9−−−−−−−
 各学校において行う特別支援教育の対象は,特別支援学級はもとより,通常の学級を含む,全ての教育上特別の支援を必要とする児童等であり,特別支援教育は,学校教育法第81条第2項各号に記載されている障害種のみならず,あらゆる障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を指します。法律上は,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとされていますが,これは必ずしも,医師による障害の診断がないと特別支援教育を行えないというものではなく,児童等の教育的ニーズを踏まえ,校内委員会等により「障害による困難がある」と判断された児童等に対しては,個別の教育支援計画及び個別の指導計画の作成を含む適切な支援を行う必要があります。
 また,次期学習指導要領においては,通級による指導を受ける児童等及び特別支援学級に在籍する児童等に対する指導や支援が組織的・継続的に行われるよう,「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を全員作成することとされています。
−−−引用終わり−−−−−
 19ページに抜粋が挙げられていますが、次期小学校学習指導要領に「エ 障害のある児童などについては,家庭,地域及び医療や福祉,保健,労働等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で児童への教育的支援を行うために,個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに,各教科等の指導に当たって,個々の児童の実態を的確に把握し,個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとする。特に,特別支援学級に在籍する児童や通級による指導を受ける児童については,個々の児童の実態を的確に把握し,個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成し,効果的に活用するものとする。」(中学校も同様)と書かれています。

 個別の教育支援計画と個別の指導計画を義務化したことであり、画期的なことです。平成28年5月頃に、教育再生実行会議へ文科省が提案した仮称「個別カルテ」が正式には個別の教育支援計画として制度化されたことを意味します。「個別カルテ」という屋上屋を重ねるような提言に危惧を懐いていましたが、本来の位置に納まったと思います。
  さらに、20ページの囲み記事で「『個別の教育支援計画』は『個別の支援計画』に含まれるもの」という理解が重要と指摘しており、これにより、平成14年閣議決定の障害者基本計画の省庁間にまたがる「個別の支援計画」という形で、障害児者の情報が繋がっていく姿へ近づくと思います。今日福祉分野で「個別支援計画」と呼ばれるものと、教育分野の「個別の教育支援計画」は本来、同じものなのだという認識が大切です。

 

 詳しくは、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 本文をご覧ください。
 

  

コメント
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

ポチッ?

カチッ

ポン

selected entries

categories

archives

recent comment

  • 代理投票など障害のある方の投票
    hisa (06/29)
  • バレンタインデー15時に肉まんで乾杯プロジェクト
    hisa (02/14)
  • バレンタインデー15時に肉まんで乾杯プロジェクト
    hisa (02/11)
  • クスマウル失語=場面緘黙 研究の歴史断片
    hisa (10/08)
  • 「日本版WISC-III知能検査」の信頼性係数の誤り
    hisa (05/26)
  • 障害者の権利を考える 障害福祉講演会を開催
    kogure (02/10)
  • ICFの基本的概念
    hisa (07/12)
  • 2009/4/15の研究会
    松本幸喜 (04/18)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM