「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その11) −第4部 2 専門家チーム用−

  • 2017.05.04 Thursday
  • 11:53

JUGEMテーマ:学問・学校

 

 専門家チームに関する記載は非常に少なくなっています。平成16年度版では専門家チームに関する記載が、「資料6:専門家チーム報告書の作成例」も含めると非常に多くの紙幅を占めていました。
 元々、平成11年7月2日に、学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議から出された「学習障害児に対する指導について(報告)」が、今日の特別支援教育の方向性を決めたと言って良いのですが、その報告書の別紙として、「学習障害の判断・実態把握基準(試案)」という提案がなされ、そこで、学校では学習障害と判断する事を禁止し、「校内委員会」(この別紙で初めて提案された)で学習障害の恐れがある子どもを挙げ、都道府県や政令指定都市に設ける「専門家チーム」(これも別紙で初めて提案された)で、学習障害であることの判断と、今日で言うなら個別の指導計画(個別の教育支援計画は平成14年12月、個別の指導計画は平成11年学習指導要領から)に類似した「専門家チーム報告書」を作成すること、及びにその報告書を学校は尊重するべきことが書かれていました。
 本文に、専門家による巡回指導も有用な方法と書かれてはいましたが、それと専門家チームは関係なく、専門家チームは専ら学習障害であるか否かの判断と指導方法について細かに書かれた報告書を作成することが役割でした。
 当時、平成16年度版では専門家チームの役割が以下のように規定されました。
    (2)役割 専門家チームの役割としては,次のようなことが求められます。
        LD,ADHD,高機能自閉症か否かの判断・・・これがメイン
        児童生徒への望ましい教育的対応についての専門的意見の提示・・・細かなプランを含む
        学校の支援体制についての指導・助言
        保護者,本人への説明
        校内研修への支援等
 今回、役割について以下の様に書かれています。
    1.専門家チームの役割
    各学校に対して障害による困難に関する判断, 望ましい教育的対応等についての専門的意見を示すことを目的として, 教育委員会等に設置された組織を専門家チームといいます。
    専門家チームの役割としては, 次のようなことが求められます。
    ・障害による困難に関する判断
    ・児童等への望ましい教育的対応についての専門的意見の提示
    ・校内における教育支援体制についての指導・助言
    ・保護者, 本人への説明
    ・校内研修への支援 等
 対象が特別支援教育の対象者全員になったせいで、いわゆる発達障害児だけでなくなったことが一番大きな変更ですが、他は平成16年度版と似た記載です。一見同じに見えるのは制度としての継続性を保ったものと思われます。しかし、最初の役割すなわち発達障害か否かの判断を専門家チームで行うという役割は、この12年間で実現できなかったことです。私見ですが、この点は実現しなかったことは良かったことだと思います。6.3%と推定されていた子どもたちを県に一つの専門家チームが診断、さらには指導の計画を作れるはずがなかったと思います。

 今回、最初の役割が「障害による困難に関する判断」と変更され、診断よりも困難の評価になったことは、大きな改善だと思います。後は同じですが、専門家チームの記載が減ったことに象徴されている様に、センター的機能や学校内の専門家の増加等々により、専門家チームの役割は徐々に減っていくのだと思います。
 これは、元々の制度設計が「診断機関」だったものが、一時、実現不可能な役割を負わされ、実現不能のまま、役割を終えつつあるということだと思います。平成16年度版では不可欠のキーになる役割でしたが、今回のガイドラインでは、相当、役割を減じています。専門家からの助言は,主に個別の教育支援計画へ反映されると位置づけています。もちろん、巡回相談員のチームとして機能している地域もあります。そちらは、巡回相談事業という位置づけで、今後も活躍されるのだと思います。

 したがって、巡回相談は発展しても、専門家チームは過去の組織としてだんだん消えていくのだと予想しています。

 

 詳しくは、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 本文をご覧ください。

 

 

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