「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その2) −平成16年度版との比較−
- 2017.04.09 Sunday
- 15:38
JUGEMテーマ:学問・学校
今回公表されたガイドラインは、平成16年に作成された「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」(以下、平成16年版と略記)の改訂版です。平成16年版は、出版もされ、150ページを超えるものでした。今回も資料編を加えると大部になりますが、本編は59ページとなっており、文章もすっきりしていて読みやすいです。
まず印象を書くと、全体に理路整然としていて、かつまた、広い視野からバランス良く書かれていると思いました。多数の方が共同して作成したのでしょうが、全体に統一がとれており、立派な資料だと思いました。平成16年度版に比べると格段に進歩していると思います。
平成16年度版からの改訂は、見直しの観点として最初に挙げられています。
<見直しの観点>
1.対象を,発達障害のある児童等に限定せず,障害により教育上特別の支援を必要とする全ての児童等に拡大。
2.対象とする学校に,幼稚園及び高等学校等も加え,進学時等における学校間での情報共有(引継ぎ)の留意事項について追記。
3.特別支援教育コーディネーター,いわゆる通級による指導の担当教員及び特別支援学級の担任など,関係者の役割分担及び必要な資質を明確化。
4.校内における教育支援体制の整備に求められる養護教諭の役割を追記。
5.特別支援学校のセンター的機能の活用及びその際の留意事項等を追記。
いずれも大きな改訂で、かつ、重要な改訂です。特別支援教育は、LD,ADHD,自閉症だけではないのだ、障害のある子ども全体への支援なのだという点は、非常に重要です。幼稚園や高等学校も視野に入れていて、これも大切な点です。3〜5も同様に重要です。
これでやっとバランスの取れたガイドラインが策定されたと思いました。