発達障害幼児の出現率について(その2)

  • 2012.04.29 Sunday
  • 16:51
 

 大神(2008)らの研究に比べて、厚生労働省の研究班の研究は一見大規模だが、実は調べた人数も頻度も期間も含めて検討すると相対的に規模が小さな研究で、方法の上でも確度がかなり低くなる。しかし、いろいろな場面で引用されやすい研究であるので、以下に紹介し、問題点もあわせて記しておく。

 

研究開発プロジェクト「社会性の発達メカニズムの解明:自閉症スペクトラムと定型発達のコホート研究」(平成1621年度)研究成果報告書

 

この中に、発達障害幼児の出現率を推察する上で2つの研究が含まれている。一つは神尾班による1歳半の時点での広汎性発達障害の出現率の調査で、もう一つは、小枝班の3歳および5歳時の軽度発達障害児の出現率の調査である。

<神尾班>M-CAT(Modified Checklist for Autism in Toddlers)を用いたスクリーニング

 要約的に述べると、1歳半健診で317名のうちPDDと判断された事例が5名、1.6%だった。というものである。大神とも共同研究をしているバーロンコーエンが開発した『共同注意』の発達を中心とした自閉症チェックリスト(M-CAT)を用いた調査である。317名から、3段階で4名の広汎性発達障害児(PDD)を抽出し、他で診断された1名を加えて、5名なので5/317すなわち1.6%の出現率としている。

 問題は、2段階目である。第1段階で、M-CATでスクリーニングして60名の要精査の群を抽出したが、そのうち20名は連絡が取れず、3名は協力を得られなかった。3段階目で、その残りから4名をPDDと診断したのである。約1/3が未確認となると、未確認の中にも同じ比率で出現していたと推計する方が自然であり、そうだとすると6.5人(2.05%)になってしまう。さらに、3段階で、急に他で診断した1名が加えられており、統計的な調査としては問題がある。

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