発達障害幼児の出現率について

  • 2012.04.29 Sunday
  • 16:04

 発達障害幼児の出現率については、種々の議論はあるが、実証的な研究となると非常に少なく、また、その方法に問題もある。今日は、2〜3回に分けて、この問題について述べる。評価は、もちろん筆者の勝手な意見であるので、ご批判を。

 

1.「糸島プロジェクト」の成果

 まず、結論的に言うと、大神(2008年)のコホート研究(ある地域に産まれた子ども全員の発達を追跡調査した研究)のデータが恐らく、世界的にも最も信頼できるデータと推察される。その18か月における出現率を表1に示す。


表1

糸島プロジェクト18か月

定型発達

1388

95.66%

PDD

10

0.69%

HFPDD

5

0.34%

ADHD

3

0.21%

LD疑い

2

0.14%

知的障害

14

0.96%

その他

29

2.00%

障害児

63

4.34%

合計

1451

100.00%

注)転入者を除いている。

出典:大神英裕著2008年 発達障害の早期支援―研究と実践を紡ぐ新しい地域連携―,ミネルヴァ書房.

 LDについては、就学後など教科学習に本格的に取り組むようになって問題が顕在化するため、「疑い」となっており、かつ、出現頻度も低いものと推察される。

 この研究では、1歳半までに、5歳時点で問題となる幼児は(転入者を除いて)全数把握しており、5歳時点での出現率については上記のようなリストを見つけられなかった。

 

 なぜ、このデータが最も信頼できるかというと、もともとが乳幼児健診と結びついた形で実施された研究で、同時に『共同注意』という、自閉症児の初期発達に関して、世界的にも注目されている現象に焦点を当てた発達研究であるからである。同時に、発達の評価や支援の方法が科学的で、統計的にもしっかりしているという方法論上の確実さがある。例えば、この研究では、生後5〜6か月からの評価がほぼ全員について継続的に行われ、かつ、いわゆる発達障害の診断についてはわが国を代表する小児精神科医の診断を受けているなど、診断面での確度も非常に高い研究である。

 この研究の結果、1歳半時点でのいわゆる発達障害児(PDD,HFPDD,ADHD,LD疑い)の出現頻度は1.38%である。厚生労働省研究班の軽度知的障害も含めた範囲を参考にすると、この研究では知的障害を加えて2.34%、その他の障害を加えて4.34%という数値になる。

 この研究について国際的な評価は非常に高く、種々の影響を与えている。

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