新型コロナウイルス対策 今学校で取り組むこと

  • 2020.04.01 Wednesday
  • 10:10

JUGEMテーマ:学問・学校

エイプリルフールも言いにくいような雰囲気ですが、新年度でいろいろ準備が大変なところだと思います。

新型コロナウイルス対策でいろいろな情報が流れています。

いくつか気になる点がありますので、まとめて書かせて頂きます。

 

   この状況で学校の先生方が取り組むことができること(案)

                                        keyword:三密、心のケア、マスクなど

 

 厳しい状況で、手探りの作業をされている先生方が多いのではないかと思い、今できることの案をメモしてみました。何より、学校は各種の専門家がいる社会の中の知的セクターですので、できることは多いと思います。また、感染症の世紀に生き抜かなければならない児童生徒にとって、生きる力になる種々のことを学ぶ機会でもあります。
 近い将来に感染拡大の恐れが大である鳥インフルエンザは、今回の新型コロナウイルスより強力で社会インフラの途絶さえ可能性があると言われています。この機会を活かして、よい学習機会を創造して行くことが、今できることなのではないでしょうか。
 厳しい感染状況で新年度にもしばらく休校するところもあるかと思います。多忙な毎日でしょうが、感染防止のガイドラインをなぞるだけでなく、新型ウイルスの情報が多い時なので、将来も含めて情報収集と体制づくりに取り組んで頂けたらと思っています。

 

校長、教頭、教務
    文部科学省、県教委、市町村教委の情報を収集し、整理・吟味する
        所属の都道府県、市町村だけでなく、他の自治体や機関の情報も収集
保健主事、養護教諭
    感染予防に関する医学的情報を積極的に収集し、整理・吟味する
理科
 ウィルスに関する生理学的な理解、消毒剤のメリット、デメリットの理解など、今後の感染症対策の基礎になる知識を整理し、教材を作成する。養護教諭等と協力し、校内のウィルス駆除に必要の薬品の吟味等行う。
社会科
 次々に出される社会的施策を積極的に収集し、記憶の新しい内に授業に生かせるよう教材を準備する(保護者に必要な情報を提供する?)
数学
    感染症の数理モデルに関する論文や書籍を読み、その知識を他の職員へ伝える。
        https://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/54-2-461.pdf

国語、美術、音楽
 後述の心のケアなどで、不安や恐怖を表現する活動が大事になってくるので、その際に留意すべき点を整理し、先生方へ伝える
体育
 運動不足になりがちなので、家庭における体育活動及び、屋外での体育活動を実施する際の注意事項を整理・吟味し、児童生徒へ伝える。保健の内容を伝える絶好の機会。部活動の際の留意点を整理する。
家庭科
 家庭科の内容に看病がある。感染予防や隔離の事を学ぶ良い機会。主に、高齢者と接触することを減らす。SNS
などを用いて交流は増やすなど、現在の状況でできることなど整理しておく。
 

マスクについて
 輸入経路などでマスクが汚染されている可能性は否定できません。マスクを配布する際、箱に番号を記し、日付け、配布先学級名、配布者氏名を記録しておきます。念のために、一箱の途中から1枚サンプリングしてビニール袋に密閉し、記録とともに保存することも考えられます。

パルスオキシメータの活用について
 呼吸器の状態を比較的簡易に測定できるパルスオキシメータを体温計と併用すれば、新型コロナウイルスへの感染のスクリーニングに役立つとの提案がありました。特に、医療的ケアを受けている児童生徒の場合、通常時のデータも記録されていることが多いので、パルスオキシメータの活用はなるほどと思いました。
        https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00546/00008/?ST=ch_digitalhealth

 

学校について
    文部科学省:新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
        https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html
   
学校再開に向けて
        https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html
        

    .新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン
        https://www.mext.go.jp/content/20200324-mxt_kouhou01-000006130_1.pdf
 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)希釈液でのドアノブ等の清拭が紹介されていますが、塩素系薬剤は濃度が高い場合皮膚や気道粘膜などに直接強い刺激を与え、様々な健康被害を発症します。希釈の濃度を適正に管理することが重要です。できれば次亜塩素酸水(給食調理で野菜の消毒やプールの消毒、水道水の消毒などに使われている)の方が良いので、一度は関係部局に問い合わせることも一考。

 

    いわゆる三密を避ける件について
 密閉、密集、密接の三つの「密」を避けるよう要請されていますが、一つ留意する必要があります。
 ガイドラインの中で「この3つの条件が同時に重なる場を徹底的に避けること」と書かれている点は重要です。例えば、距離を離して座っていて、マスクもしているのに、児童同士の会話を禁止する先生がいると耳にしました。大声でしぶきがかかるような会話はダメですが、普通の会話まで禁止するのは行き過ぎです。ガイドラインにも「近距離での会話や発声等が必要な場面も生じることが考えられることから,飛沫を飛ばさないよう,咳エチケットの要領でマスク(手作りを含む)を装着するなどするよう指導すること。」と書かれており、会話禁止は書かれていません。換気に配慮するなど三密が重なる場にならないようにすることが重要です。

 換気にしても、四六時中換気をして体温を下げて免疫力を下げるのは問題です。例えば1時間に1回など、教室内の空気を入れ換えるような換気を行う等にすれば、理科の実験の時に炎が揺れるなどのことに困ることはない訳です。

 密接にしても、社会的距離(social distance)など注目されていますが、校庭で遊んで
いるときにすれ違うのも神経質に禁止するのは行き過ぎです。校庭で遊ぶとき、長時間接触していることは避けるべきですが、サッカー、野球、追いかけっこで服を触るなど、遊んだ後にきちんと手洗い指導を行えば良いわけです。

 「学校に行ったけど、友達と話しても叱られてつまらなかった」と子どもたちに言わせることのないように、教師自身が正しい感染予防の知識をこの機会に身につけることで過剰な行動制限をしなくて済みます。

 

 学校再開ガイドラインには、医療的ケア  海外から帰国した児童・生徒のことも書かれています。もちろん教育課程に関することも書かれています。

 

 心のケアについて
学級担任や養護教諭等を中心としたきめ細かな健康観察等から,児童生徒等の状況を的確に把握し,健康相談等の実施やスクールカウンセラー等による支援を行うなどして,心の健康問題に適切に取り組むこと。 と書かれていますが、積極的な心の教育については書かれていません。阪神淡路大震災の時からの研究と実践の影響で、四川大地震の教訓を活かした次の北京市のガイドラインが参考になります(兵庫県立大学の冨永良喜教授から教えて頂きました。同教授の「ストレスマネジメントとトラウマver.02
」というブログは他にも参考になる情報が多数あります。)
        http://traumaticstress.cocolog-nifty.com/ver02/2020/03/post-997507.html

 

    .新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン
    臨時休業の判断の目安など書かれている。教室を休校中に使用することや給食の提供
なども書かれている。
        https://www.mext.go.jp/content/20200324-mxt_kouhou01-000006130_2.pdf

参考
    ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合―家庭内でご注意いただきたいこと−
  【これは感染者が居る場合の対処で、普通の対処では、ここまで感染防御をするのは必要ないが、参考になる】
        https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
   
動画「やってみよう!新型コロナウイルス感染症対策 みんなでできること」(ハンカチでマスクを作るなど)教材になる
        https://www.youtube.com/watch?v=WRhp0ZGVh0U&feature=youtu.be

 イベントに関して
      厚労省:新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために
        https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601720.pdf

 

 いろいろ書きましたが、学校の強みは組織的な取り組みです。手分けして、一人の先生の負担になり過ぎないように配慮してください。ゆとりを持つことが免疫にも役立つとのことですので、少しずつ、組織として感染症に強い学校を創り上げていってください。

い。

           PDFファイルは→https://mon.psychoreha.org/tsk/link01.html

犯罪捜査と障害者の権利条約

  • 2018.11.29 Thursday
  • 11:24

「障害者の権利に関する条約」 締結に伴って、日本でどのような制度改革を行ったかを国連に報告しました。この政府報告書は、障害者制度改革のダイジェストのような文書です。教育や福祉の関係者は、警察や検察の捜査について、どのような改革が行われたか知らない方が多いので、記載させていただきます。(文頭の番号は報告書の段落番号)

 

  第1回日本政府報告 より抜粋(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000171085.pdf

 

92.捜査機関において、障害を有する被疑者や参考人に対して取調べを行う際は、対象者の特性を考慮して適切な方法により行うことの重要性を意識し、知的障害者等に対し供述特性を踏まえた分かりやすい発問等を行うこと、聴覚障害者に対し手話通訳や筆談を用いること、必要に応じ、検察官らが自宅や病院等に赴いて保護者や医師等の同席の上で事情聴取を実施することなどの配慮を行っている。

 

93.警察官は、精神又は身体に障害のある者の取調べを行うに当たっては、その者の特性を十分に理解し、取調べを行う時間や場所等について配慮するとともに、供述の任意性に疑念が生じることのないように、その障害の程度等を踏まえ、適切な方法を用いなければならないこととされている(犯罪捜査規範)。

 

94.国家公安委員会規則において、人権の尊重を大きな柱とする「職務倫理の基本」を定め、警察職員に対し、職務倫理を保持させる教育を行うよう規定している。これらの規則に従い、警察では、警察学校や警察署等の職場において、憲法、刑事訴訟法等の法学や職務倫理の講義、障害者施設への訪問実習、有識者による講話等、障害者の特性や障害に配慮したコミュニケーション等の理解を深め、障害者の人権を含めた人権に配意した警察活動を推進するための教育を行っている(警察職員の職務倫理及び服務に関する規則)。

 

95.留置実務を指導する者に対する司法手続を含む研修を実施し、指導者の資質を高めるとともに、留置業務に従事する職員に対しては、各警察学校における専門教育や、警察署等の職場における研修会等のあらゆる機会において、障害者を含めた被留置者の人権に配意した適正な職務執行を期する上で必要な司法手続を含む知識・技能等を習得させるための教育を行っている(「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」、以下「刑事収容施設法」という。)。

特殊教育学会の場面緘黙の発表

  • 2016.08.12 Friday
  • 09:12

日本特殊教育学会2016 第54回大会 

特殊教育学会が新潟市で917()18日(月)に開催されます。

場面緘黙関係の発表をピックアップしてみました。

自主シンポ5110年続いているシンポジウムですが、これが始まった10年前にはほとんど場面緘黙の発表はありませんでした。隔世の感があります

 

他にも、自立活動、ICFなど、興味深い発表がありますが、ここでは場面緘黙だけまとめました。(Pはポスター発表)

 

自主シンポジウム51 918日(日) 13301500 朱鷺メッセ 301A

自主シンポジウム10周年記念シンポジウム 場面緘黙を取り巻く状況:これまでの10年、これからの10

企 画 者:浜田 貴照(かんもくの会)

            藤田 継道(岐阜聖徳学園大学)

司 会 者:藤田 継道(岐阜聖徳学園大学)

話題提供者:青木 路人(かんもくの会)

            眥邸 ^粥蔽淒搬膤愽軋安臘容段婿抉膤惺察

指定討論者:奥田 健次(行動コーチングアカデミー)

 

 

自主シンポジウム63 918日(日) 15301700 朱鷺メッセ 301A

わが国における場面緘黙研究の現在と今後の方向を考える

企 画 者:高木 潤野(長野大学社会福祉学部)

            加藤 哲文(上越教育大学 臨床・健康教育学系)

            久田 信行(群馬医療福祉大学 社会福祉学部)

司 会 者:加藤 哲文(上越教育大学 臨床・健康教育学系)

話題提供者:古田島恵津子(新潟大学大学院 教育学研究科)

            前田美和子(和歌山県立紀北支援学校)

            奥村真衣子(筑波大学 アクセシビリティ部門)

指定討論者:久田 信行(群馬医療福祉大学 社会福祉学部)

 

 

自主シンポジウム100 919日(月) 13301500 朱鷺メッセ 301B

選択性緘黙のある子どもへの支援

支援事例の検討から支援の多様性を考える−

企 画 者:園山 繁樹(筑波大学人間系)

司 会 者:園山 繁樹(筑波大学人間系)

話題提供者:関口 雄一(筑波大学人間系)

            臼倉  瞳(東北大学医学研究科)

            濱口 佳和(筑波大学人間系)

指定討論者:加藤 哲文(上越教育大学臨床・健康教育学系)

 

 

ポスター9 919日(月) 9001100 朱鷺メッセ マリンホール

P9-10 場面緘黙の状態、教師の対応、家庭との連携に関する調査

         梶  正義(関西国際大学人間科学部人間心理学科)

         藤田 継道(岐阜聖徳学園大学教育学部)

 

P9-11 長野県内の小学校における場面緘黙の出現率

−神戸市における悉皆調査との比較−

         高木 潤野(長野大学社会福祉学部)

         臼井なずな(長野大学)

         船戸 映見(長野大学社会福祉学部)

 

P9-47 場面緘黙児の保護者を対象としたグループコンサルテーションの効果と保護者の記録行動の検討

保護者の積極的な介入行動を支援する取り組み

         笹田夕美子(浜松市発達医療総合福祉センター)

         奥田 健次(行動コーチングアカデミー)

 

P9-56 不自然な無言状態を呈する吃音のある児童に対する指導

         渡邉 正基(元新潟市立小学校言語障害通級指導教室)

         見上 昌睦(福岡教育大学特別支援教育講座)

         渡辺 時生(新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科)

         前新 直志(国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科)

この発表が場面緘黙かどうか分かりませんが、吃音にも注目しています。

 

JUGEMテーマ:学問・学校

重度重複障害児のキャリア教育??

  • 2016.05.06 Friday
  • 20:34
JUGEMテーマ:学問・学校
 教育課程部会 特別支援教育部会(第7回) 配付資料 (http://melmaga.mext.go.jp/c/lnq00zl006C1)が公表された。
 ちょっと読んだだけであるが、少し違和感があったので、書いてみる。

 高等学校の通級は有名だが、自立活動についても検討されている。
 資料2 特別支援学校の教育課程に関する検討課題例
(2) これからの時代に求められる資質能力を踏まえた、障害のある幼児児童生徒一人一人の進路に応じたキャリア教育の充実。
○ 重度・重複障害のある児童生徒へのキャリア教育を教育課程との関連の中でどのように充実していくか。
という課題が掲げられている。

 今日は、その点を中心に一言。

資料3−2 キャリア教育の改善・充実の方向性(検討素案)  をみると、問題点はうまく整理されているような感じもするが、分析的な視点と統合的(総合的)な視点の整理がついていない印象であった。自立活動やキャリア教育は、ややもすると分析に流れて行きがちな教育内容の整理を、総合的・統合的視点で繋いでいくのだと思う。その点で共通性が多いので、自立活動とキャリア教育の両方を並立させようとすると却って混乱する恐れがある。個人的には、自立活動だけで統合していく方が整理しやすい様に思えるが、如何(いかが)。

資料5)一木薫先生のhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/063/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/05/06/1370116_5.pdf
「『重複障害者等に関する教育課程の取扱い』の適用により実施されている教育内容の現状と課題」では教科の連続性と自立活動が検討されており面白そう。ちなみに、この論考ではキャリア教育を混在させないで議論している。

 自立活動の検討抜きに、「障害特性」などの用語が跋扈している現状を、これらの議論で整理して行くことを期待している。

 

差別解消法のミニ講演会

  • 2016.01.25 Monday
  • 13:32
  ミニ講演会 

分かりやすい障害者差別解消法−何が差別か、何が合理的配慮か−

 講師 久田信行 (群馬医療福祉大学)

 日時 23() 19時から20時半

 会場 群馬医療福祉大学(前橋キャンパス) 221号教室 (要 上履き)

 費用は無料、メールで申し込み:代表者氏名・所属と参加者数

 申し込み先 hisata@psychoreha.org

 

 今年4月から差別解消法が発効し、例えば合理的配慮をしないと差別だという事になります。

 文科省は同法への対応要領や対応指針などのガイドラインを出していますが、私には、分かりにくかったです。内閣府の講演会を宇都宮へ聞きに行きましたが、差別解消法そのものが分かりにくく、差別とは何か、障害者の権利条約との関連はどうか、などは良く伝わりませんでした。

 

 調べていくと、差別解消法の元になった差別禁止法構想の段階で、かなりしっかりした議論が行われており、その議論を読むと、差別や合理的配慮のこと、障害者の権利条約と差別関連法規との関係など、私には分かりやすかったです。

 そこで、ミニ講演会を行うことに致しました。主に学校の先生方を対象に考えておりますが、保護者の皆さんも含め、どなたでも参加出来ます。

 資料等の準備のため、21()までに上記のアドレス宛に参加をお申し込み下さい。※ 申し込みを2月2日まで延長

 会場は、群馬医療福祉大学のHP 大学案内 アクでご覧ください。(前橋キャンパス:前橋市川曲町)

 駐車場は正門手前と校舎の裏手に学生用駐車場があります。

 

(申し込みのキャンセルは、こちへご連絡下さい。)


差別解消法への対応要領(文科省向け)

  • 2016.01.14 Thursday
  • 09:14
 文科省の差別解消法への対応要領(公務員向け)が12月25日に出されていたと教えて頂きました。民間向けの「対応指針」よりもすっきりしているという印象です。
 しかし、1月11日にこのブログに書いた、差別禁止部会の報告の方が、権利条約に基づいた、障害者差別への対処の考え方は、格段に分かりやすいと改めて感じました。

差別解消法 分かりやすいのはこっちかな?

  • 2016.01.11 Monday
  • 11:21
 JUGEMテーマ:学問・学校

 差別解消法が今年の4月から発効します。それに備えて、政府の対応方針や対応指針(民間向け)、対応要領(省庁や地方公共団体向け)が次々と出されています。
 しかし、それらの文書では、何が差別なのかとか、合理的配慮をしなければならない理由などよく分からないという印象を私は受けています。

 その点、以前出された「差別禁止部会−最終意見」という報告書は、差別の考え方や、歴史、障害者の権利条約との関係など基本となる考え方が書かれており、勉強になりました。また、各論では教育についてもまとめられており、差別解消法よりも踏み込んだ書き方だとは思いますが、何が差別になり、何処に注意しなければならないかが、私にはとても分かりやすかったです。
 しかし、その報告書は全体で90頁もあり、ちょっと読むには大変です(一応、全体を読み、勉強にはなったので、なるべく、全体を読まれることをお勧めしますが・・・)。そこで、自分なりに、教育を中心に抜粋した16頁の資料を作りました。それをホームページに公開しました。(11日午前、word版や関連情報を含めて、リンク先を修正しました)



 差別や合理的配慮を考えることは、障害児者の人間としての尊厳を考え、より積極的な生活を考えることにつながると思います。出来れば、この資料を入り口に、さらなる探求をして頂けると有り難いです。

学校への付き添い

  • 2015.12.05 Saturday
  • 07:57
 JUGEMテーマ:学問・学校

 <少し書き換えました12月5日>
 障害児の親に学校への付き添いを求めている実態が文科省から報告されました。
 それが、「合理的配慮」の問題に関連するという論調でしたが、合理的配慮だけで差別の問題を考えると間違った方向へ議論が進む恐れがあります。

 障害者の権利条約は、障害児者や家族が、「基本的人権が他の人と同様に有る」という当たり前の事を保障するのが趣旨です。人権を発揮出来るようにするため、(薪な権利があるので、平等に扱わなければならない。∧薪な対処だけでは、権利の実現が困難な場合、最低限の支援・配慮は、例え民間の組織だとしても行うべしと規定し(これが合理的配慮)、それを行わないと差別だとしました。さらに、社会の仕組みとして不平等な部分は公的セクターが責任を持って改善していくという締結国の約束事なのです。
 例えば、親が付き添いをしないと小学校に受け入れないという制限は、障害の無い子どもの親には求めないので、障害児の親にだけ求める訳で、それは、そもそも差別(,乏催)だと考えられます。(平等ではない制限(=直接差別)であって、合理的配慮に欠けるという意味ではないという点に注目する必要があります)。入学の可否を判断するとき、平等に親の付き添いという条件が無いなら、この意味の差別は無い事になります。(権利条約の差別の定義は文末の注参照)
 ただし、担任の先生への引き継ぎや、子どもがとても不安だったり、困っているときに危機介入というか、その時だけ緊急に助けに入って頂くなど、例外的にご家族の協力を学校が求める場合があることは、是非、理解して頂きたいと思います。

注)共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)平成24年7月23日にも障害者の権利条約第2条について次の様に引用されています。

“「障害を理由とする差別」とは、「障害を理由とするあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害を理由とする差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む」とされている。” (引用終わり)

ナチスの障害者虐殺

  • 2015.11.02 Monday
  • 15:28
テレビの紹介です。今週末に良さそうな番組があります。

「それはホロコーストの“リハーサル”だった」

ETV 特集 11月7日(土) 夜11時放送
再放送 11月14日(土) 0時(金曜深夜)
ナチスによる障害者虐殺は20〜30万人とも言われています。

「番組では、こうした暗い歴史を背負う現場を、
日本の障害者運動をリードしてきた藤井克徳さん
(自身は視覚障害)が訪ねる。」 (NHK)


 私は、大学の時に、北杜夫著「夜と霧の隅で」という中編小説で、最初に知りましたが、
下記のギャラファーの本を読むのはとても辛かったのを覚えています。
 障害者にかかわる人は是非、そしてそれ以外の多くの人も是非ごらんいただき、
人間性の負の側面についても思いをはせていただけたらと思います。

〇ナチスドイツと障害者「安楽死」計画 という本:障害者の虐殺を詳しく描かれています。
ヒュー・グレゴリー ギャラファー (著), Hugh Gregory Gallagher (原著), 長瀬 修 (翻訳)
出版社: 現代書館 (1996/08)
ISBN-10: 4768466877
ISBN-13: 978-4768466872
発売日: 1996/08

〇夜と霧の隅で
北杜夫著
出版社: 新潮社; 改版 (1963/7/30) 新潮文庫
ISBN-10: 4101131015
ISBN-13: 978-4101131016
発売日: 1963/7/30




持続可能な開発目標

  • 2015.10.04 Sunday
  • 01:07
 JUGEMテーマ:学問・学校 

 925-27日に国連持続可能な開発サミットが開催され、25日に『持続可能な開発目標』(SDGs)が採択されました。

 この『持続可能な開発目標』(SDGs)は、世界の問題に対する総合的な解決を図る行動目標で、障害児教育も含むわが国の教育にも影響を与える考え方なのですが、多くのマスコミが、従来の途上国の経済開発援助のイメージで報道していました。それも軽い扱いでした。

 また、同サミットに関する安倍首相の演説 

http://www.sankei.com/politics/news/150928/plt1509280012-n1.htmlも余り取り上げられませんでした。


 詳しくは、NHKの視点・論点 「国連70周年と持続可能な開発目標の採択」国連開発計画(UNDP)駐日代表 近藤哲生 20150923 ()をご覧ください。

 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/228196.html

近藤氏は、「SDGsの底流にある考え方は、持続可能な開発を進める上で前提となる平和です。どれだけ開発支援に投資しても、社会が不安定化し、紛争や戦争が発生することで、それまで取り組んできた成果は大きく損なわれ、回復にも時間がかかります。地震や台風といった自然災害も開発を後退させます。」など、これまでの経緯とともに本質的な問題を、語っていて大変参考になります。



 また、同じくNHKの「おはよう日本 ここに注目」20150925 ()

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/227936.html#more

 「きょうから国連サミット〜終わらない"宿題"」 道傳 愛子 解説委員 も参考になります。短い記事で、「途上国を支援するだけでなく、先進国も自分たちの足元の問題の解決を、と求めていることです。」と指摘するなど、分かりやすく語っています。 


 比較的、ボリュームのある報道としては、2015929日(火)放送 NHKクローズアップ現代  国連70"誰も置き去りにしない"世界を目指して があります。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3708.html

放送丸ごとテキスト が公開されています。

 前記のように、今回の「持続可能な開発目標」は、低開発国援助ではないのですが、クローズアップ現代は専らアフリカでの開発援助が取り扱われている点は気になりました。しかし、本格的な報道番組として取り上げているだけに注目されます。

  この番組は「誰も置き去りにしない(no one will be left behind)注」という理念をタイトルにしていました。また、『持続可能な開発目標』の開発の部分を「発展」と訳していました(「開発」development と訳した方が良いと思う)。もしかするとクローズアップ現代のスタッフは、単なる途上国の経済開発援助のイメージが強かったのかもしれません。 (※注:UNDPの近藤氏の記事の“Leave no one behind”の用例が多い様子。)

それに対して、安倍首相の開発目標サミットでの演説は、今回の内容に合致していた。小渕首相もそうだったが、安倍首相もこの点について分かっているのではないかと思う。それはわが国の外交が『人間の安全保障』を一つの柱にしているからとのことです。


ESD(持続可能な開発教育)はユネスコの手で、全国で実践されました。国連持続可能な開発10年を提唱したのは日本で、その最終年にまとめの会議が開催されたのも日本で、その国連の10年に日本は資金提供を行って来たのです。小渕さんのころに、人間の安全保障の問題を緒方貞子さんが座長で、国連で議論されていたとのことです。


これらのことが、余り知られていないのが残念です。多くのマスコミは開発援助というイメージが30年以上前のままという印象です。

今回の「持続可能な開発目標」は先進国でも同じ枠組みで、共通の目標を掲げており、障害児者の問題も含まれているのです。多様性、セイフティーネット、クウォリティーオブライフ、生活機能、ケイパビリティーなどの新しい一連の概念を学ぶことが、子ども達のためにも不可欠な世の中になっていると思います。 

その第一歩としておすすめなのは、「人間の安全保障」アマルティア・セン著 (集英社新書)2006年です。講演録なので読みやすいです。

この考え方が今回の持続可能な開発目標の基底になっていると思います。ノーベル経済学賞をアジアで初めて受賞した有名な著者で、セイフティーネットや持続可能な開発の考えを創った人の本ですので、新聞記者さんは、常識として読んでおいて良いと思います。

「持続可能な教育」も今回の国連の開発目標の大きな柱の一つですから、教育関係者も上記の本は、読んでおく方が良いと思います。

結構、小渕前首相が出てきたりして、面白い本です。



 

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