ICFの基本的概念

  • 2011.04.06 Wednesday
  • 00:29
JUGEMテーマ:学問・学校

「国際生活機能分類(ICF)の基本的概念と評価の考え方」という題名の論文を群馬大学教育実践研究という紀要に投稿しました。大学のホームページで公開している紀要です。

ICF
の基本は「生活機能」という考え方で、その基本は経済学者のアマルティア・セン教授の「機能アプローチ」という考え方であるとする論文です。
 ICFの基本が、「生活」を諸々の機能(functionings)の集合と定義したセンの考え方であるという点は、ICFを理解する上で重要な点だと思います。

http://hdl.handle.net/10087/5983 (見る/開く で読めます)

 なお、この論文では「潜在能力」をセン教授のケイパビリティ(capability)として論議していますが、国際生活機能分類で「潜在能力」はキャパシティ(capacity) が原語となっています。二つの言葉は関連が深いのですが、微妙に違いもあり、その点を充分整理していないという点を上記の論文を校正した後に分かりました、近いうちにその点について書かなければと思っています。(言い訳)

コメントなどお寄せ頂けると幸いです。

※URLが無効でしたので、修正しました。2011.10.26

ICFの改訂

  • 2011.02.26 Saturday
  • 17:11
JUGEMテーマ:学問・学校

ICF 改訂案がでました
 

2011216日に、生活機能分類専門委員会(1)の第10回会合が開かれ、昨年10月にカナダのトロントで開かれた「WHO-FICネットワーク会議」の報告がありました。生活機能分類(ICF)を議論するグループでは、2001年に作成されたICF(国際生活機能分類)を改正する提案が了承されたそうです。

 

内容は、ICFの派生分類として07年に作成された「ICF-CY」(国際生活機能分類−児童版)と共通する部分について、15項目の文言をICF-CYに合わせて修正する改定案です。トロントでのネットワーク会議で、生活機能分類グループがこの改正提案を了承し、近くWHOが改正されたICFを正式に公表ことになるようです。正式には、その発表があってから、厚生労働省でも周知を図るのでしょう。

 

  下記の範囲で、チェックしましたが、ICF-CYを使っている方はd7409の英文を修正するだけで、あとは修正の必要はありません。

 ICF本体だけを使っている方はICF-CYを見て、15か所だけ修正することになるでしょう。もっとも、大きな改訂ではないのでそれぞれ数文字を加除するだけの事になると思います。



 

<もう少し内容まで知りたい方は下記をご覧下さい>

URC(分類改正改訂委員会)への提案課題の検討:

ICFCY(国際生活機能分類―児童版) 作成時に修正されたICFとの共通部分に関する小改正提案である15提案について、URC (分類改正改訂委員会) への提案に先立ち再度検討がなされ、今回のURCへ提案されることとなった。

URCは(Updating and Revision Committee

 

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/a5f07ed56baa967b4925783a001d1658/$FILE/20110217_1shiryou2-2.pdf

の英文を読んで、ICFICF-CYの日本版と比較すると、下線部の挿入や7番目のd4451に例をあげたような軽微な修正でした。また、すでに大多数が日本語版ICF-CYに改訂案の翻訳が載っていました。(英文の部分はd7409のみICF-CYも改訂しなければなりませんでしたが、日本語訳は修正不要でした。)

 

ただし、ICF-CYで大幅に増えた下位分類 (内容的には成人にも適用可能に思える項目が多いが、一部は小児用と特定出来るものもある。) については、今回の改訂の文書には載っていない様子なので、あくまでICF本体の改訂は、下記の15項目のみだと思われます。

 

1)    b640  Sexual functions

2)    d4302  Carrying in the arms

3)    d3152  Communicating withreceiving- drawings and photographs

4)    d140  Learning to read

5)    d4303  Carrying on shoulders, hip and back

6)    d4403  Releasing

7)    d4451  Pushing

Using fingers, hands and arms to move something from oneself, or to move it from place to place, such as when pushing a toy or an animal away.

8)    d610  Acquiring a place to live

9)    d740  Formal relationships

10) d7409 Formal relationships, unspecified (改訂前はFormal relationships, other unspecified) この項は、CYについても改訂された模様

11)     d910  community life

12)     d6508  Caring for household objects, other specified

13)     e1100  Food

14)     e115 Products and technology for personal use in daily living

15)  d430 Lifting and carrying objects

 

注1)詳しくは、「社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会

2WHO ICF のホームページでも、現在のところは改訂されていません。

http://apps.who.int/classifications/icfbrowser/

 

しきしまミーティング 公開討論会

  • 2011.02.25 Friday
  • 12:22
JUGEMテーマ:学問・学校

2011特別支援教育 しきしまミーティング 公開討論会

3月5日の泊まり込みのしきしまミーティングは2月25日締め切りました。

 20世紀は、分子や素粒子のレベルまで、ものごとを徹底的に分析することが、問題を探求するための主流の考え方でした。今でも分析は大切ですが、総合の大切さが多く語られるようになりました。複雑な問題は多面的・多次元的視野から問題を検討しないと解決できない、という認識が広がっています。そのような中で、WHOは国際生活機能分類(ICF)を2001年に作り、生活機能という観点から、障害や健康問題を捉えようとしています。

 今回は、ICFの生活についての考え方を講演で話題提供し、その後、生活をめぐって公開討論会を開催いたします。ICFを通じた『生活』の見方や、ICFで分かりにくい潜在能力について、新しい発見があると思います。
 障害関係者だけでなく、生活や健康に関心をお持ちの方にも議論にご参加いただき、生活や障害等々について討論ができればと存じます。

コーディネーター:饗庭敏彦氏(桐生市立養護学校長)


講師:久田信行氏(群馬大学教育学部障害児教育講座教授)

テーマ「ICF(WHOの国際生活機能分類)の基本
         ―生活機能アプローチと障害―」

 

指定討論者 

 〇或肱駄藥瓠柄斡胸垉帖Ε吋▲泪諭璽献磧次κ欷郤圈

 仲丸守彦氏(利根沼田障害者支援センター所長・
                 NPO法人理事長)

日 程:平成23年3月6日(日) 9:30〜12:20(受付9:00〜)


          9:00〜      受 付   


      9:30〜10:50 講 演


    11:00〜12:20 指定討論と意見交換


主 催:群馬ニーズ教育研究会


場 所:群馬大学荒牧キャンパス(前橋市荒牧町4-2
   大学会館2階 ミューズホール(大学生協の2階)
               http://www.gunma-u.ac.jp/html/campusmap_0.html        


費 用:300円(資料代) ※当日、受付でお支払い下さい。


申込み:不要(直接会場へお越しください)


問い合わせ(事務局):小野圭三(県立二葉養護学校)


      メール:(xxx@xxxxxx.xx.xx)


     ※定員を超えた場合、お断りさせていただくことがあります。


定 員:200名

生活機能の調査と障害者権利条約

  • 2010.12.21 Tuesday
  • 04:27
 障害者が「排斥されずに、普通に生きること」は、当たり前のことです。多くの人々が普通に得ている人権が、著しく制限されていることが、平成22年12月7日に発表された障害者の生活機能調査で明らかになりました。普通に外出することが、介助者を得られないために困難であったり、イベントなどの情報がなかなか得られなかったり、外出時のトイレがうまく使えないため外出の妨げになったり、さまざまな困難があります。
 そのため、外出をあきらめることが常態化し、はじめから外出を望まない方もいます。しかし、外出を望まないのではなくて、外出の目的が増えれば、外出も増えるだろうと考える方が多いことも明らかになりました。?と思われるでしょうが、情報不足や誘いの乏しさのために、外出の目的が少ないと感じている方が多いのです。皆さんが、自由はあるが活動の目的が乏しいとしたら、たまらないと思います。障害者の何割かの方は、それに近い状態で生活しているという実態があるのです。
 障害者を排斥していると思っている人は少ないと思います。しかし、「排斥されず、普通に生きること」つまり基本的人権が保障されているかと考えると、例えば、外出の自由は、環境の不備、不備を補う支援の不足、参加の機会の制限(乏しさ)などなどから、制限されている方が少なくないのです。社会全体で、ちょっと配慮すればできることがたくさんあるし、近隣で配慮をしている人も多いのですが、社会全体で配慮する制度にはなっていないため、いろいろな場面、側面でほころびがあるのです。その少しずつのほころびは、障害者自身では乗り越えられないバリアとなるのです。公共広告機構(AC))の広告に、エレベーターのボタンを押してあげるという配慮を描いたものがありますが、そういう支援(住民同士の配慮)が必要だし、エレベーターに車いすの人にも操作できるボタンが普通に付いていること(制度的な整備)も必要なのです。電車で席を譲ったり、視覚障害者が杖を持って歩いていると道を空けたり、配慮する人は確実に多くなっています。しかし、制度的な整備はまだまだ不足しています。
 そういった配慮が欠けていることは、意識的な排斥ではないと思いますが、実際的には社会から障害者を排斥する結果となっています。「排斥されずに、普通に生きる」という基本的人権が、明らかに制限されているのです。昔は、障害者に関する情報が乏しく、「知らなかった」ので、意識も低かったし、制度が整備されていなかったのだと思います。
 今日、テレビでも数多く取り上げられるようになり、本も多数出ており、障害者への理解は格段に高まってきました。情報過多とさえ言われている今日ですが、「国連障害者の権利条約」をご存じの方はどの位いるでしょうか?
 残念ながら、内閣府の平成21年の調査では、障害者権利条約を知らない方が74.7%、「詳しい内容は知らないが」という方を含めても、知っている方は25.3%に過ぎないのです。7〜8割の人が知らないという状態は、日本人が未だに「知らなかった」で済ませている傾向があることを示しているのかも知れません。
 障害者権利条約は、一言で言うと「排斥されずに、普通に生きる」権利を社会全体で実現するという国際的な法律です。批准すれば、憲法の次の位置を占め、国内の法律に対して拘束力を持ちます。福祉、教育、労働関係の法規、裁判法などなど、いろいろな法律や、さまざまな制度の改革が必要です。同時に、「知らなかった」では済まされない時代に入るという意識改革が大いに必要で、その点でも教育の役割が重要だと思われます。

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

ポチッ?

カチッ

ポン

selected entries

categories

archives

recent comment

  • 発達障害者支援法から場面緘黙や吃音が外される?
    hisa (09/18)
  • 発達障害者支援法から場面緘黙や吃音が外される?
    安藤順一 (09/14)
  • 代理投票など障害のある方の投票
    hisa (06/29)
  • バレンタインデー15時に肉まんで乾杯プロジェクト
    hisa (02/14)
  • バレンタインデー15時に肉まんで乾杯プロジェクト
    hisa (02/11)
  • クスマウル失語=場面緘黙 研究の歴史断片
    hisa (10/08)
  • 「日本版WISC-III知能検査」の信頼性係数の誤り
    hisa (05/26)
  • 障害者の権利を考える 障害福祉講演会を開催
    kogure (02/10)
  • ICFの基本的概念
    hisa (07/12)
  • 2009/4/15の研究会
    松本幸喜 (04/18)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM