「インクルーシブ教育を受ける権利に関する一般的意見第4号(2016年)」2

  • 2017.12.06 Wednesday
  • 09:40

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国連 障害者権利委員会のインクルーシブ教育への意見http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc4_2016_inclusive_education.html より抜粋

 

 

.条約の他の条項との関係

 ここでは、第24条だけでなく、障害者の権利条約の他の条文や、子どもの権利条約など他の条約との関連を示している。第24条だけに注目しがちな今日の教育界へ、適切な助言をしていると思われる。例えば移動について以下のように書かれている。

 

53.インクルーシブ教育が効果的に実現されるためには、障害のある人は自立を基礎とした個人の移動を保障されなければならない(第20条)。交通機関がすぐには利用できない場合、また、教育機関へのアクセスを支援してくれるパーソナルアシスタントがいない場合、障害のある人、特に全盲及び弱視の人は、さらなる自立を促進するために、移動のための技能に関する適切な研修を提供されなければならない。締約国はまた、障害のある人に、移動補助具及び移動支援機器を負担しやすい費用で入手する機会も提供するべきである。

 

.国レベルでの実施

 

63.インクルーシブ教育に関する総合的かつ分野を超えた法的及び政策的枠組みが、明確かつ適切な実施期限並びに違反に対する制裁措置とともに導入されなければならない。このような枠組みは、すべての学習者のためのあらゆる教育機関における柔軟性、多様性及び平等の問題に取り組み、政府のあらゆるレベルにおける責任を明らかにするものでなければならない。重要な要素として、以下があげられる。

 (a)国際人権基準とのコンプライアンス。

 (b)インクルージョンの明確な定義と、インクルージョンがあらゆる教育段階において達成しようとしている具体的な目的。インクルージョンの原則と実践は、単なる追加プログラムではなく、改革に不可欠なものと見なされなければならない。

 (c)法的枠組みの重要な要素としての、インクルーシブ教育を受ける実体的権利。たとえば、特定のカテゴリーの生徒を「教育不可能」と定義した規定は撤廃しなければならない。

 (d)障害のある生徒と障害のない生徒で同一の、一般的な教育制度の中でインクルーシブな学習機会を享受する権利、及び個々の学習者があらゆる段階において必要な支援サービスを享受する権利の保障。

 (e)委員会の一般的意見第2号 に従い、既存の学校を適合させる期限を示すとともに、すべての新規の学校の、ユニバーサルデザインの原則とアクセシビリティ基準に従った設計と建築を義務付けること。この要素を実施するために公共調達の活用が奨励される。

 (f)あらゆる段階における実施の進捗状況を追跡し、政策及びプログラムの実施と、必要な投資による支援を確保するための、インクルーシブ教育及び障害インクルーシブな監視の仕組みに関する総合的で質の高い基準の導入。

 (g)政策の実施と必要な投資の提供を確保するためのアクセシブルな監視の仕組みの導入。

 (h)資源の効率的な使用ではなく人権基準に基づいた、インクルージョンを支援するための合理的配慮のニーズの認識と、合理的配慮の不提供に対する制裁措置。

 (i)インクルーシブ教育に影響を与える可能性のあるあらゆる法律における、インクルージョンは具体的な目的だという明確なステートメント。

 (j)障害のある人がインクルーシブな学習環境で活躍できるようにするために必要な、早期発見、アセスメント及び支援のための首尾一貫した枠組み。

 (k)地方自治体が、障害のある人を含むすべての学習者のために、インクルーシブな環境と教室において、最も適当な言語によるものを含む、意思疎通のアクセシブルな様式、形態及び手段を計画し、提供する義務。

 (l)障害のある児童を含む障害のあるすべての人に対し、学校評議会、理事会、地方及び中央政府、並びに教育に関する異議申立や上訴を行う仕組みを含む教育制度内で、意見を聴かれ、自己の意見を相応に考慮される権利を保障する法律。

 (m)障害のある人を代表する団体、各種機関、開発組織、非政府組織及び親や養育者など、障害のある人を含むすべてのステークホルダー間のパートナーシップと連携の構築。

 

70.委員会は締約国に対し、分離型の環境からインクルーシブな環境へ、資源を移行することを強く求める。締約国は、障害のある人に必要な支援を提供するために、インクルーシブな教育環境に資源とインセンティブを割り当てる資金調達モデルを開発するべきである。資金調達への最適なアプローチの決定においては、既存の教育環境と、その影響を受ける可能性がある障害のある学習者のニーズが大いに参考になるだろう。

 

71(前略)教員教育の中核となる内容は、人間の多様性、成長と発達、障害の人権モデルと、インクルーシブな教育環境への生徒の参加を確保するために教員が生徒の機能的能力(強み、能力及び学習スタイル)を特定できるようなインクルーシブな指導法に対する基本的な理解に取り組むものでなければならない。教員教育には、点字、大活字、アクセシブルなマルチメディア、読みやすく、やさしい言語、手話やろう文化など、適当な意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式の使用と、障害のある人を支援する教育技術と教材に関する学習を含めるべきである。さらに、教員は特に、個別指導の提供、それぞれの学習スタイルと独自の能力に対応するためにさまざまな指導方法を用いて行われる同一内容の指導、特定の学習ニーズを支援するための個別教育計画の策定とその使用、生徒の教育目的に重点を置いた指導方法の導入について、実践的なガイダンスと支援を必要としている。

 

仮訳:石川ミカ、日本障害者リハビリテーション協会 / 監訳:長瀬修

 

国連 障害者権利委員会のインクルーシブ教育への意見 1

  • 2017.11.24 Friday
  • 00:38

 昨年のことですが、国連の障害者権利委員会から教育に関する下記の意見が公表されています。この文書では、国連全体の目標である「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(国連 持続的開発目標;SDGs)への言及がところどころ見られ、時代とともに変化していることが伺われます。中教審初等中等教育部会の報告(平成27年)とところどころ違っている点があり、今後調整が必要なのかもしれません。

 差別解消法やインクルーシブ教育を考えるうえで示唆に富みますので、その一部を抜粋し2回に分けて掲載いたします。

 

「インクルーシブ教育を受ける権利に関する一般的意見第4号(2016年)」1

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc4_2016_inclusive_education.html より抜粋

 

障害者の権利条約第24条(教育)の解釈は、改めて、この文書に書かれている方向で行われる必要があると思います。例えば、以下のように書かれています。

 

.第24条の規範的内容

16.第24条(1)(b)の実施に向けて、教育は、障害のある人の人格、才能及び創造力並びに精神的、身体的及びコミュニケーション能力を、その可能な最大限度まで発達させることに向けられるべきである。障害のある人の教育では、欠陥を埋めるアプローチと、実際にある機能障害や認識されている機能障害、そして、潜在能力に対する暗黙の否定的な思い込みによる機会制限が、あまりに注目されすぎている。締約国は、障害のある人それぞれの独自の強みと才能を生かす機会の創出を支援しなければならない。

 

18.第24条(2)(a)の実施に向けて、障害のある人の一般的な教育制度からの排除は、個人の潜在能力の程度をインクルージョンの条件とすることや、合理的配慮の提供の義務から逃れるために、均衡を失した過度の負担を主張することなど、機能障害またはその機能障害の程度に基づきインクルージョンを制限する何らかの法的または規制的条項による排除も含めて、禁止されるべきである。一般的な教育とは、すべての通常の学習環境と教育部門を意味する。直接的な排除は、特定の生徒を「教育不可能」であり、それゆえ、教育を受ける資格がないとして分類することだと言える。間接的な排除は、合理的配慮や支援なしに、入学条件として共通試験への合格という要件を課すことだと言える。

 

35には、以下の記述もあり、場面緘黙児や吃音児等についても十分配慮する必要がある。

 (e)社会コミュニケーションの困難がある学習者は、ペア活動、ピア・チュータリング、教師の近くの座席、構造化された予測可能な環境の創造を含む、学級編成の適切な調整を通じて支援されなければならない。

 

.締約国の義務 

41.漸進的な実現は、即時に適用可能な義務に影響を及ぼすものではない。経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会が締約国の義務の性格に関する一般的意見第3号(1990年)で述べているように、締約国は、最低でも、教育を受ける権利の各側面の最低限の不可欠なレベルの充足を確保する、最低限の中核的義務を有する。それゆえ、締約国は、以下の中核的権利を直ちに実施するべきである。(注15)

 (a) 教育のあらゆる側面における、すべての国際的に禁じられている差別の理由を網羅した無差別。締約国は、障害のある人の教育からの排除をなくし、障害のあるすべての人の効果的な参加と平等の実現を阻む構造的な不利を撤廃すること確保しなければならない。そして、インクルーシブ教育を享受する権利を妨げる、あらゆる法的、行政的及びその他の形態の差別を撤廃するための対策を緊急にとらなければならない。積極的差別是正措置の採用は、そのような措置が、別の集団にとって不平等な、または、別個の基準を維持することへとつながらない限り、教育に関する無差別の権利の侵害にはならない。

 (b) 障害のある人の教育からの排除をなくすことを確保するための合理的配慮。合理的配慮の不提供は、障害を理由とした差別となる。

 (c) すべての人が利用可能な、義務的な、無償の初等教育。締約国は、インクルージョンを基本として、障害のあるすべての児童及び若者に対し、当該権利を保障するためのあらゆる適当な措置をとらなければならない。委員会は締約国に対し、「教育2030行動枠組み」 に概要が述べられているように、すべての児童及び若者のための、最低12年間の、無償の、公的資金による、インクルーシブかつ公正な質の高い初等及び中等教育で、そのうち少なくとも9年間は義務教育である、質の高い教育を享受する機会とその修了、並びに、不就学の児童及び若者のための、さまざまな様式による質の高い教育を享受する機会を確保することを強く要請する。

平成29年度の全国学力・学習状況調査の学力成績の偏差値

  • 2017.09.10 Sunday
  • 11:28

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平成29年度の全国学力・学習状況調査の学力成績から偏差値を求めました。


http://mon.psychoreha.org/tsk/link01.html


に、平成28年度の結果へのリンクとともに掲載しています。

 

  全国学力・学習状況調査の結果に一喜一憂している学校も多いかと思います。順位や全国平均からの得点差が気になる教育委員会が多いと思います。新聞でも、わが県が低いなど、気になる形で記事になっています。しかし、それらの差は意味があるのでしょうか?

 全国学力・学習状況調査の成績は、得点と合格率で示されています。科目ごとに出題数も違うし、平均値と標準偏差(得点のばらつき具合の尺度)は示されていますが、比較しにくい形で示されています。数年前に、これらの得点から偏差値を計算して比較することにしました。その意図は、本当に県別の差は意味があるのかどうか調べたかったからです。

 上記のリンクに私のホームページの資料集が示されています。そこには、平成28年度と29年度の偏差値に計算しなおした結果が示されています。
 どちらの偏差値も、全国規模で比較すると、日本で規格化された義務教育は全国津々浦々で差が無いレベルになっていることを示しています。このことは、問題も含まれてはいますが、義務教育の大きな成果の一つとはいえるでしょう。


 しかし、この調査の報告書の細かなデータを見ると、それぞれの県の得点分布には大きな幅があります。学年相当の学力がある子もいれば、2学年分以上遅れている子もいるというのが現状です。
 全国平均や他県との差に汲々とするよりも、市内、校内での学力の差を重視して、だれもが其々の現状から学習・発達できることを目指す方が生産的だと思います。

特別支援学校教諭免許状 全員保有への通知 旧聞ですが・・・

  • 2017.06.11 Sunday
  • 15:17

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 2020年までに免許の保有率を100%にするという目標を文科省が掲げているのは新聞などで見ていましたが、学芸大のサイトに平成26年3月に出された通知があるのを知りました。

 今頃何なのと言われそうですが、私みたいに正確には知らなかった人もいるのでは無いかと、引用することにしました。

 特別支援学校の先生方だけでなく、ひろく免許の取得を進めるようにと書いてあることに驚きました。認定講習が増える訳です。

 

 

                                                                  25初特支第32号
                                                                 平成26年3月31日
各都道府県教育委員会特別支援教育主管課長
各都道府県教育委員会人事主管課長
特別支援学校を置く各指定都市教育委員会特別支援教育主管課長
殿特別支援学校を置く各指定都市教育委員会人事主管課長
附属特別支援学校を置く各国立大学法人学長
各私立特別支援学校事務担当課長

                                        文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長
                                                                    大 山 真 未
                                                                  
                                 文部科学省初等中等教育局教職員課長
                                                                     口  努
                                                                  
                 平成25年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等
                    免許状保有状況等調査の結果について(送付)

 

 平成26年1月9日付25初特支第20号で依頼しました標記の調査について、調査
結果が取りまとまりましたので、別添のとおり送付します。
 貴機関におかれては、以下の事項に御留意しつつ、特別支援学校教諭等免許状保有者
の特別支援学校への採用・配置、同免許状を保有しない特別支援学校教員に対する免許
法認定講習の受講促進など、計画的な同免許状保有率向上の取組を進め、特別支援学校
教員の専門性向上に引き続き努められますようお願いいたします。
 なお、本調査結果については、特別支援学校教諭免許状の認定課程を有する大学等に
も送付していることを申し添えます。

 

                                      記

 

1.採用、配置、研修(免許法認定講習等)を通じた特別支援学校教諭等免許状保有率
向上を中期計画などに位置付け、計画的な保有率の向上に努めていただきたいこと。
その際、特別支援学校教諭等免許状の認定課程を有する大学等と連携しながら取組
を進めるよう努めていただきたいこと。

 

2.特別支援学校の教員の採用や配置に当たっては、特別支援学校教諭等免許状の保有
を前提とするよう努めていただきたいこと。同免許状を保有せずに特別支援学校に勤
務することとなった教員には、可能な限り早期に保有させるなどの方針を教育委員会
等が明確に示し、必要な環境整備や免許法認定講習等が最優先で受けられるような配
慮をお願いしたいこと。
  受講に当たっては、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における長期研修、
近隣の大学や教育委員会における免許法認定講習、放送大学などの通信制大学等の活
用も含め、受講機会の拡大に努めていただきたいこと。

 

3.免許法認定講習と免許状更新講習は、互いに認定を受けることができるため、教育
委員会の実施する認定講習については免許状更新講習としても申請し、特別支援学校
教諭等免許状の取得に向けた効率的な受講に配慮いただきたいこと。(別紙2参照)

 

4.特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状の保有を促進するとともに、各種研
修の受講機会の拡大等により専門性の向上に努めていただきたいこと。

 

5.小・中学校の特別支援学級や通級による指導を担当する教員についても、特別支援
教育の専門性の向上に資する各種研修の受講機会の拡大や特別支援学校教諭等免許状
の取得の奨励に努めていただきたいこと。

 

6.特別支援学校への勤務が考えられる小・中・高等学校等の教員についても、特別支
援学校教諭等免許状を保有することが特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状
保有率向上に資することから、免許法認定講習等の受講に努めていただきたいこと。

 

7.発達障害の可能性のある児童生徒の多くが通常の学級に在籍している小・中・高等
学校等の教員についても、特別支援学校教諭免許状取得のための科目(例えば、特別支
援教育の基礎理論に関する科目(第1欄)や重複障害・LD等教育に関する科目(第3欄)
など)を受講することは有効な研修の機会となること。

 

8.今回、特別支援学校教諭等免許状保有率向上に積極的に取り組んでいる教育委員会
に提供いただいた具体的な取組事例を紹介しているので、参考にしていただきたいこ
と。(別紙3参照)

                            【本件連絡先】
                            文部科学省初等中等教育局
                        特別支援教育課指導係(堀江、小坂)
                           <以下連絡先>

 

詳しくは、学芸大の資料の5,6ページです。

 

 

群馬ニーズ教育研究会 例会

  • 2017.06.09 Friday
  • 10:59

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群馬ニーズ教育研究会

  6月の研究会は6月13日(火)に開催します。 
  できれば、初心者のかかわり方に関する話題を取り上げたいと存じます。 
  また、差別解消法への対処などについても話題にすると思います。 
  事例を抱えている方、優先しますので、是非、ふるってご参加下さい。 
   
                 記 
 
     場所 群馬医療福祉大学 前橋キャンパス 
  
     住所 〒371-0823 群馬県前橋市川曲町191-1 
     会場 2号館2階222教室(門を入ってすぐの建物) 
         (校内図はお返事のメールに添付する予定です。)      
     日時 2017年6月13日(火) 19時〜20時30分 
     (警備上、21時以降の使用禁止) 
 
     
 ※土足禁止ですので、スリッパ・上履き等、恐れ入りますがご持参下さい。 
      
 ※ご参加頂ける方、6月12日(月)までに、 hisata@psychoreha.org 
へメールを頂けますと幸いです。 会員以外の方も参加できます。 
 お誘い合わせの上、おいで下さい。

                    群馬医療福祉大学  久田信行

 

次期 学習指導要領の自立活動について

  • 2017.06.05 Monday
  • 00:22

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 自立活動に1つの項目が増え、3つの項目の説明がやや詳しい文章に改定されました。

 新に加わった項目について余り情報が無い状態です。普通、あまり目にしない情報だと思いますが、新しい制度が提案されるときに、一般の意見を徴してから決定するという手続き(パブリックコメント:略して「パブコメ」)が取られています。今回の学習指導要領改訂でもパブコメがあり、その結果も公表されています。

 

 平成29年4月28日に学習指導要領のパブリックコメント(詳しくは、「特別支援学校幼稚部教育要領案,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領案に対する意見公募手続き(パブリックコメント)の結果について」)が出ました。
 回答の一部、私が注目した点について以下に挙げます。

 

意見番号4 {学習指導要領の示し方}社会モデルの考え方をより重視せよとの意見に対する回答で、「また,障害の捉え方については,世界保健機関(WHO)が発表した「国際生活機能分類(ICF)」を踏まえ,生活機能や障害,環境因子を考慮することが求められていることから,現行の特別支援学校学習指導要領解説自立活動編の中でも紹介してきたところであり,ICFの視点についても引き続き周知を図ってまいります。」と書かれています。

 

意見番号11{総則}交流と共同学習の違いを示すべきだという意見に対する回答で、「御指摘のとおり,障害のある子供と障害のない子供が一緒に参加する活動は,相互の触れ合いを通じて豊かな人間性を育むことを目的とする交流の側面と,教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があるものと考えております。交流及び共同学習とは,このように両方の側面が一体としてあることを現行の学習指導要領の解説によりすでに明確に表しておりますが,(後略)」と両者に違いがあることを示しつつ、一体のものとして扱うと書かれています。

 

意見番号27{自立活動}「1 健康の保持」「(4)障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること。」が規定された意義,規定される場所について。(新しい項目を加える必要があったのか?入れるとして、健康の保持よりも心理的安定なのではないのか?という意見)に対する回答で、「当該規定は,自己の障害にどのような特性があるのかを理解し,それが及ぼす学習上又は生活上の困難についての理解を深め,その状況に応じてより学習や生活をしやすい環境にしていくことを意味しています。・・・発達障害などについての理解が「病気の理解」に含まれにくいことなど,特別支援学校だけではなく,小・中学校の特別支援学級や通級による指導で学ぶ児童生徒の実態を踏まえ,新たに規定したものです。」と書かれています。
 1健康の保持の「(2)病気の状態の理解と養護に関すること」に含まれにくいことは理解出来ますが、2.心理的な安定の「(3)障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること」や4.環境の把握「(2)感覚や認知の特性への対応に関すること」の二つに「特性」に関することが書かれており、健康の保持というより、心理的安定に加えるという選択もあったのではないでしょうか。

 いずれにせよ、いわゆる「特性」について少なくとも3つの項目が関与している事は知っておく方が良いでしょう。ただし、特性(ややもすると症状の部分になりがち)を重視するよりも、人として共通にもっている様々な機能を伸ばすことが教育の主務だという意識を持っていたいと改めて思いました。

 

<追加:以前ここに書いた内容の再掲>6月6日

 私のホームページに臨時で新旧対照表を掲載していますので、ご覧ください。(私の確認なので、漏れがあるかも知れませんので悪しからず)
http://mon.psychoreha.org/tsk/newjiritsu.pdf

 

  

研修講座「場面緘黙の理解と支援」開催のお知らせ

  • 2017.06.04 Sunday
  • 14:47

7月1日(土) 兵庫県尼崎市で日本緘黙研究会の研修会が開催されます。只今、申し込み受付中です。

 

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その16:最終回) −平成16年版との比較から−(全体のまとめ)

  • 2017.05.24 Wednesday
  • 00:03

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 平成16年の「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」(平成16年版と略記)と平成29年に出された「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」(以下、新ガイドラインと略記)は、どちらも特別支援教育の体制整備のためのガイドラインですが、大きな違いがあります。その主なものをまとめてみます。

 

1.平成16年版は、題目にもあがっているように「LD,ADHD,高機能自閉症」だけで、障害のある児童生徒の一部に特化したガイドラインでした。それが、今回「障害のある幼児児童生徒」すなわち特別支援教育の対象となる子ども全てを対象としている。これは非常に大きな違いです。

 

2.平成16年版の内容は、平成11年7月2日に学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議から報告された「学習障害児に対する指導について(報告)」と、「特別支援教育体制推進事業」(脚注)で整備してきた仕組みをまとめた内容でした。モデル事業として推進され、例えば学生支援員という教員養成学部の学生を取り込む試みなど、正式の制度設計というよりも、モデル事業の中での工夫が基礎になり、オプション的に加えられていったという経過をたどりました。制度改正がなされた平成19年、「特別支援教育の推進について(初中局長通知)」が出されて、それらの試みの多くが正式の役割・制度となっていきました。ただし、学生支援員など消えていったものもあります。
 平成16年版は、正式の制度発足の前に書かれているため、モデル事業の集大成という色彩が強く、制度としては背景を欠いていたため、特別支援教育コーディネータや専門家チームに多くの役割を付し、体制整備としては不十分なものでした。

 

3.新ガイドラインは、平成16年版を踏襲しているように見えますが、10年余りの実践の裏打ちがあるため、使える仕組みと使えない仕組みの違いが分かってきて、より着実な制度設計になっています。ただし、平成16年版を踏襲しているスタイルであるため、その弊害を払拭するにまでは至っていません。例えば、専門家チームで障害の判断を行うことは、現在ではほとんど無く、医師の診断が主に行われています。そうなると、本当は専門家チームの存在意義はかなり無くなっていると言えるでしょう。

 

4.障害者の権利条約批准とそれに伴う法・制度改革にともなう変化に対応するために、大幅に内容が変わっています。新ガイドラインでは、特別支援教育コーディネータの職務の一部に合理的配慮に関する合意形成が加えられた事は特筆すべきことでしょう。また、全体に、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の通常の学級を中心に述べられており、インクルーシブ教育システムの構築を目指したガイドラインになっています。

 

5.これらの変化を受けて、平成16年版の個別指導を中心とした発想から、新ガイドラインでは学校内の組織的取り組み、とりわけ学校経営や学級経営としての取り組みという発想へと転換しています。

 

6.学校全体の取り組みとして展開するために、校内の役割を整理していることが注目されます。また、それらの諸役割を統括する視点が重視され、それが校長・園長の役割について多く書かれるという姿に現れています。このことは、校長の責任が増したと言うより、学校全体でチームとして取り組むことが重視され、勢い、それらをマネージメントする校長の役割として書かれることが増えたと考えられます。その部分を校長だけでなく、教職員全員がよく読んで、チームとして機能するように運営することが求められていると思います。

 

7.「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」がチームでの取り組みと、本人・保護者の参画に重要な役割を果たすことになりました。このことは、「専門家チーム報告書」(絵に描いた餅だったか?)から、個別の教育支援計画の義務化へと、現実的な改善が図られています。(2016年に話題になった「個別カルテ」は、これらの義務化で実現したと推察されます)。

 

 以上みてきましたように、平成16年版に比べると非常に改善されたガイドラインと言う事ができるでしょう。更なる改善のために、学校全体での組織的取り組みの成果を積み重ねる必要があると思います。

 

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(脚注)平成12年度から始まった「学習障害の判断・実態把握体制等に関するモデル事業及び巡回相談事業」と、平成15年度からそれを引き継いだ、「特別支援教育推進体制モデル事業」として小・中学校におけるLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒への総合的な教育支援体制の整備を図るため,校内委員会や専門家チームの設置, 特別支援教育コーディネーターの養成, 巡回相談等を実施。平成16年度からは,小・中学校におけるLD・ADHD・高機能自閉症等を含めた障害のある児童生徒への総合的な支援体制の一層の整備を図るため、上記の事業内容に加えて、都道府県や地域における行政部局横断型の組織として特別支援連携協議会の設置、個別の教育支援計画の策定、盲・聾・養護学校のセンター的機能の在り方に関する研究を実施してきた。

 

 

「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」の解説(その15) −第3部 学校用 1 校長用(園長用)− を再び(まとめに代えて3)

  • 2017.05.13 Saturday
  • 08:54

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 校園長用の残りの部分をまとめます。

 

5.教職員の理解推進と専門性の向上
 学校内の研修の促進と学校外の研修参加を促すことを校長に求めています。専門性の向上としていますが、何の専門性かという点が問題です。

 私的な意見ですが、通常の担任等にとっては、まず、教科教育の専門性を高め、次いで、発達に応じた教授法の専門性を高め、個々の子どもの多様性に応じる教授方法という専門性を高め、最後に、障害に応じた対応という面についても力をつけるという順番がありそうに思います。
 特別支援学校教諭の場合には、障害に応じた対応が出来る様に、まず、個々の子どもの多様性に応じる対応の仕方と、種々の障害の違いに応じた対応の仕方を学ぶことが必要になります。そこで「特性に応じた指導」という考えが出てくるのですが、特性(
そのものだけが持つ性質;すなわち他と異なる特徴)だけが強調されている昨今の風潮は問題です。トータルに人として、同時に、今居る状況との交互作用の中で、かつ、その人の発達の経過の中で理解し、指導・支援していく必要がある。ということは、特性以外の、人として共通にもつ諸機能とその発達を見ないで指導・支援することはできません。その部分は、一般の教育とほぼ一致している、その部分をみなければならないと思います。その意味で、今回のガイドラインは、前回の特性重視、個別指導重視から大きく改善されていると思います。
 インクルージョンを推進することに賛成だが、特別支援学校など障害児が複数いて、先生方も複数いて、先輩から職場で学ぶことが出来る体制は、重たい子を見るだけで無く、教職員を育てる上でも大事だと思います。これは、単に、現状を維持する事ではありません。簡単なことではありませんが、今後、インクルーシブ教育を推進するためには、午前中にインクルーシブな状況で学び、午後は特別支援学校で学ぶという形態を取ることなど、いろいろ工夫が必要だと思います。

 

6.教員以外の専門スタッフの活用
 特別支援教育支援員のことが専門スタッフの第一に挙げられています。中には、専門性が高い方もいますが、支援員の多くは、率直に言って専門スタッフというよりも、補助的な役割を持つことが多いと思います。支援員が活きるためには、担任や管理職が旨くリードする必要があります。また、研修をもっと充実させる必要があるでしょう。
 他に、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、看護婦、就労支援コーディネーターについて述べられています。管理職としては通常の教諭とこれらスタッフとの協働がうまくいくようコントロールする役割が大事になります。

 

7.保護者との連携の推進
 最初に保護者への理解推進が挙げられている点が注目されます。PTAなどを通じて保護者全体が、障害のある子どもたちに関する理解や、特別支援教育に関する理解を推進していくことが、ひいては、子どもたちの障害児理解へと結びつきますので、今後特に重要になってきます。
 個別の教育支援計画の作成と活用に当たって、保護者の参画は不可欠です。この部分が拡充され、整理されたことは大事な事だと思います。

 

8.専門家・専門機関との連携の推進
 巡回相談やセンター的機能の活用、医療、福祉、労働等の関係機関との連携も述べられています。脚注12には、平成24年の通知が紹介され、福祉関係の「個別支援計画」等との関係や放課後デイとの関係などについても触れられています。


9.進学等における適切な情報の引継ぎ
 個別の教育支援計画の内、進学等の移行期に作成されるものを「移行支援計画」と呼びますが、ここでは、個別の教育支援計画として、引継ぐように書かれています。その際、個人情報保護に努めるようにと書かれています。
  また、高校受験においても合理的配慮が必要な事例には、積極的に周知させるようと書かれています。これらの記載では、事例も挙げられおり、理解を深めやすく書かれています。


 今回は、簡単に内容をまとめましたが、よくまとまっているので、本文をご覧頂きたいと思います。新ガイドラインの全体像を把握する目的であれば、校長用の部分を読むことは良いと思います。


詳しくは、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 本文をご覧ください。
 

  

新旧 ガイドラインにおける特別支援教育コーディネーターの役割比較

  • 2017.05.10 Wednesday
  • 17:45
平成29年3月 平成16年
発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン 小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン (試案)
特別支援教育コーディネーターは,学校内の関係者や教育,医療,保健,福祉,労働等の関係機関との連絡調整,保護者との関係づくりを推進する
合理的配慮の合意形成,提供,評価,引継ぎ等の一連の過程において重要な役割を担う
特別支援教育コーディネーターは,学校内の関係者や外部の関係機関との連絡調整役,保護者に対する相談窓口,担任への支援,校内委員会の運営や推進役といった役割を担っています。
1.学校内の関係者や関係機関との連絡調整 〈校内における役割〉
(1)学校内の関係者との連絡調整 ○校内委員会のための情報の収集・準備
校内委員会の企画・運営を担い,協議を円滑にできるようにする ○担任への支援
また,日頃から校内で教育上特別の支援を必要とする児童等の情報を収集し,必要に応じ,特別支援教育支援員,スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカー等、学内専門家と繋ぐ ○校内研修の企画・運営
(2)ケース会議の開催 〈外部の関係機関との連絡調整などの役割〉
ケース会議では,児童等の状況の共有や,課題の明確化,今後の具体的な支援内容や方針の確認 ○関係機関の情報収集・整理
(3)個別の教育支援計画及び個別の指導計画の作成 ○専門機関等への相談をする際の情報収集と連絡調整
校内委員会で個別の教育支援計画及び個別の指導計画を作成 ○専門家チーム,巡回相談員との連携
(4)外部の関係機関との連絡調整
特別支援教育コーディネーターは,巡回相談員や専門家チームとの連絡調整の窓口となる
特別支援学校(センター的機能)やその他の教育,医療,保健,福祉,労働等の関係機関との連絡調整
(5)保護者に対する相談窓口 〈保護者に対する相談窓口〉
各学校において,一般的に,保護者と主に連絡を行う教員は,児童等が在籍する学級の担任だが,コーディネーターも窓口になる
2.各学級担任への支援
特別支援教育コーディネーターは,各学級担任からの相談に応じ,助言又は援助等の支援を行う
(1)各学級担任からの相談状況の整理
(2)各学級担任とともに行う児童等理解と学校内での教育支援体制の検討
(3)進級時の相談・協力
3.巡回相談員や専門家チームとの連携
(1)巡回相談員との連携
(2)専門家チームとの連携
4.学校内の児童等の実態把握と情報収集の推進
学校内の児童等の実態を把握するための校内体制構築や,研修の実施を推進
校内委員会において,全ての教職員を対象とした早期支援のための学校内の研修の計画や,学習面又は行動面において困難のある児童等に係る困難の状況の実態把握のための参考指標の使用等を提案

 平成16年度版については項目のみ書きました。この表の項目だけだと役割は少ないように

見えますが、当時は、役割が整理されていませんでしたので、非常に多くの役割が与えられ

ていました。今回のガイドラインでは、差別解消法への対応においても役割が増えましたが、

具体的に役割が示され、実質上は役割が分担され、整理されたと言えそうです。

 

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